TURN100 マッドサイエンティストその九
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「撤退の際ですが」
「誰か逃げ遅れたのかな」
「ラーゲリの施設はそのままにしてしまいました」
「じゃあ老人ホームとかも?」
「はい、そのままです」
放置したまま撤退してしまったというのだ。
「そこにいる人民奉仕者達もです」
「そうなんだ、仕方ないね」
「あの男もです」
ここでこうも言うベラルーシだった。
「そのままです」
「ちょっとまずいかな」
「すいません、私のミスでした」
「ベラルーシのせいじゃないよ、それは」
ロシアはそれは彼女のせいにはしなかった。
そのうえでだ、こう妹に言ったのである。
「皆そこまで考えが及ばなかったからね」
「では」
「僕ももう撤退するからね」
ロシアはベラルーシにあらためて言った。
「じゃあチェリノブでね」
「はい、そこでまた」
こう話してそうしてであった。
ロシアも撤退シラーゲリでの戦いも終わった、枢軸軍はラーゲリも制圧したがそこで見たものはというと。
ダグラスはラーゲリの中を見回して難しい顔でアメリカに問うた。
「祖国さんはここについてどう思う?」
「ラーゲリだな」
「ああ、ここな」
ラーゲリの中は暖房もあり給食も居住施設もそれなりに充実していた、皆決まりに従って決まった時間に起きて食事を摂り身体を動かし風呂にも入る、だがそこは。
「誰もが四十になれば定年してか」
「ここに入ってだな」
「余生を過ごすのかよ」
「確かに人間は四十になったら身体能力が落ちるけれどね」
二人と一緒にいるアメリカ妹も難しい顔でそのラーゲリを見回しながら言う。
「けれどこれはね」
「どうなんだろうな、紋切り過ぎだろ」
ダグラスもサングラスの奥で難しい目になっている。
「人間幾つまで働けるかその人それぞれだしな」
「働きたい人間を無理に引退させるのはよくないぞ」
アメリカも今回は複雑な顔である。
「これは少しな」
「政策としては頷けないな」
「僕もそう思う」
こう話す彼等だった、山下もそのラーゲリを見回しつつ難しい顔で台湾に問うた。
「台湾殿はここについてどう思われますか?」
「こうした場所はどうも」
「やはりそうですか」
「働きたくとも仕方なく入っている人も多いですね」
「あまりこうした政策はよくありませんね」
「はい、そう思います」
台湾もこうした考えだった。
「どうにも」
「これが共有主義の一面ですか」
「四十はそれ程歳でしょうか」
「いえ、私はそうは思いません」
山下も同じだった、やはり難しい顔で言うのだ。
「四十はまだこれからです」
「平均寿命を考えましても」
どの国でも九十を超えている、それではだ。
「それはとてもです」
「そうですよね、ソビエトのこの政策は聞いていましたが」
「余生のこと
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