第一物語・後半-日来独立編-
第五十五章 君の元へと《2》
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」
この後に続く言葉は返ってこなかった。あえて言わなかったのかもしれない。
数拍置いてから、映画面から声が発せられた。
『日来長が解放場に辿り着いたのならば、せめて私が行くまで解放場に留めていろ』
「了解した」
言うと映画面は消えた。
だから隊隊長は今なすべきことに、意識を集中させた。
「あれを使え」
と解放場の操作をしていた一人に告げる。
あれ、という言葉を聞いて、誰もが立ち止まったがすぐに自分達の役目を果たすために動いた。
告げられた者は一瞬戸惑い、一度確認を取る。
「いいんですか。あれは天魔の……」
「我らが織田瓜の娘が分けてくれた力だ。ここで使わず何処で使うというのだ」
しかし……、と言うも、間を開けて納得したように一回頷いた。
「分かりました」
返事の後。すぐに取り掛かった。
映画面を表示し、パスワード入力画面を開く。そこである数の文字、数字を打ち込む。
少し経つと現れた、何かのロックを解除するボタン。
肯と否の二つのボタンがあるなかで、肯のボタンを一回押す。
無意識に唾を飲み込み、起動するのを待った。数秒後。別の戦闘艦から一つの鉄製のコンテナが放たれ、駆翔天の手前に金属音を響かせて落ちた。
落ちるや否や、近付いてくる日来の長に向かってコンテナから漏れるように無数の黒い手のようなものが。コンテナを破裂させ、飛び散るかの如く伸びて行った。
おぞましい何かを放ちながら、日来の長を飲み込まんと迫っていく。
宙で歯を食い縛るセーランは何も出来ず、迫る黒の手を見ることしか出来無かった。何故ならば、コンテナから放たれた直後にセーランの眼前へと伸びたのだから。
まるで空間を飛び越えたように。
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