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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第五十五章 君の元へと《2》
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のように関わっていく気なのかと彼方は問うているのだ。
 ここで答えるのはこの場限りの答えではなく、今後に続く答えだ。
 息を吸い、ゆっくりと吐いた。
「今、自分が考え付くのは黄森との睨め合いを続けることです。幾ら黄森でも、神州瑞穂の主戦力の一つである辰ノ大花を無理矢理潰そうとはしないでしょう。黄森と仲が悪かったのは今に始まった話しではありません。ですから、この状況を続け、何時しか黄森に盾突けるようになったら盾突こうと思っています」
「つまり時を待つ、と言うことだな。ふ、お前らしい現実的な考えだ。確かに現状を維持することは大切だ。だから後は、逆らう機会を間違えるな」
「……はい」
「行って来い」
「え?」
「言った筈だ。逆らう機会を間違えるなと。今は黙って見ている時か? それとも行動に起こし、黄森に盾突く時か?」
 まさかこんなにも容易く、理解してくれるものなのだろうか。
 しかし今、行って来いと言われた。
「どうした。早く行け」
「いいんですか?」
「いいと言わなければ解らないのか」
「す、すみません……!」
 反射的に姿勢を正す。
 背筋を伸ばした状態のまま、
「この恩は行動で示します」
「当たり前だ。轟竜騎は俺のを使え。俺に合わせて調整しているから操縦は難しいだろうが、扱えない程じゃないだろ。こっちで意識の送り込みはやるから心配はするな」
「ありがとうございます。では、使わせてもらいます」
 一礼し、先輩である男性が使う操縦席へと向かった。
 操縦席へと着き、騎神へ意識を送り込むのにはそう時間は掛からなかった。
 不馴れな機体に機体制御が始めは上手くいかなかったものの、持ち前のセンスですぐにコツを掴んだ。
 お互い、言葉はない。
 今なすべきことは、もう分かっているからだ。ゆえに起動した轟竜騎は何も言わずに、開いた倉庫の扉から出た。
 そして、蒼天の下。
 一機の騎神が出撃したのだ。




『物分かりのいい先輩でよかったな』
『全く同感だ』
 A3の言葉に同意する。
『増援はすぐには来ないが、後から来る。それまで持ち堪えるぞ』
『了解!』
 内部通信を切り、外部通信へと変更する。
 日来の長を庇いながら戦闘艦からの砲撃を防ぎ、確実に解放場へと送り届ける。
 だから騎神の近くにはセーランがいた。
「本当にすまえねな」
『それはこっちの台詞だ。わざわざ長のために、ありがとな』
「好きでやってんだ。お礼なんて言うなよ」
『――ほら、もうここまででいいだろう』
 声を張り、日来の長に言う。
 もう解放場との距離は二百メートルを切っている。
 騎神はセーランから離れ、今だに砲撃を続けている戦闘艦を駆逐しに行こうとしていた。そうすれば戦闘艦は日来の長を狙おうか、騎神を狙おう
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