第一物語・後半-日来独立編-
第五十五章 君の元へと《2》
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に取り付けられた副砲が標準を合わせ、迷い無く砲撃を放った。
ビーム状の砲撃は、宙を行くセーランへと向かっている。これを食らったのならば、重体どころか即死もあり得る。
例え殺したとしても、宇天の長の元へは行かせないことを黄森は選んだのだ。
無茶苦茶だと思いながら、回避を行い逃れようとするが、甘かった。
主砲が鳴った。
はなっからセーランを殺しにきていたのだ。
光が放たれ、眩しさと共に砲撃の音と熱が来た。
「セーラン殿――!」
長の名を呼ぶ魅鷺。
だが今、セーランの横からは砲撃が迫っている。
直撃する。
誰もがそう思った。
砲撃が推進する轟音と共に、光がセーランの全身を包んだ。
「あれは……!」
地上にいた八頭が、空を見て言った。
戦闘艦の他に空を行くもの。
青く、しかし黒と金色の塗装がなされたものが、砲撃の方へと高速で向かって行った。
高速ながら音は風が隙間を吹き抜けるような音で、光を反射しない、まるで光を吸収しているかのような装甲。
そう、これは騎神であり実戦機。
戦争では主役となるもの。
訓練機とは桁違いの能力を秘めた、選ばれた者のみにしか操作の出来無い機体だ。
騎神は砲撃に向かい、日来の長であるセーランを庇うように前へと行った。向かう砲撃に左腕を見えるように構え、籠手のような装備が展開し盾となり砲撃がぶつかった。
砲撃に対して小さい盾だったが、砲撃はその盾を壊すことは出来ずに四方八方へと威力を削がれて飛び散った。
副砲など既に眼中にないかのように、騎神の装甲に当たるが掠り傷すら付かない。
砲撃の光が消える頃、地上から八頭が騎神の名を叫んだ。
「あれは辰ノ大花が誇る実戦機騎神が一機――轟竜騎か!」
実戦機の投入は、一気に戦況を覆す力を送り込んだということだ。
騎神のなかでも実戦機はそれ程脅威であり、脅威であるからこそ実戦機に使う部品は訓練機騎神の数機分の価値があるとされる。
幾ら多くの訓練機騎神が相手でも、対峙しているのが実戦機騎神だったのならば意味が無い。そんな実戦機騎神・轟竜騎を宇天の長の救出に向かわせた。
『行け、日来長! 宇天学勢院を代表して俺が言う。俺達の長を救ってくれ!』
轟竜騎から聴こえる若い男性の声。
これを聴いたネフィアと共にいる騎神・戦竜の操縦者は、内部通信で轟竜騎の操縦者と会話を試みた。
この声に聞き覚えがあるからだ。
『お前、まさかA1か……?』
『そのまさかだ』
『お、おま……実戦機なんて学勢の俺達が操縦出来るような機体じゃねえぞ。どうやったんだよ』
『それはな』
話しは日来の赤い騎神との戦いが終わった頃までさかのぼり、起きたことを話した。
●
日来の赤い騎神との戦いを終え、負傷した戦竜
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