ニシオリ信乃過去編
Trick-12-2_その人はきっと、A・Tの為に本気で涙を流してくれる人さ
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武内 宙が襲った
第一世界の重力子の一人なんだ。
不明だった青年の正体がわかった所で、改めて青年の体を見る。
青年が言うとおり、これは致命傷だ。戦場でもこれほど血を流した人は助からなかった。
それに傷も酷い。腹が抉られたように、一部が無くなっている。
「・・・・これをやったのは宙だね・・・・」
「・・あいつを恨まないでやってくれ」
「なんで! イングにーさんをこんな目に合わせているのに! どうしてそんなことが言えるの!!」
「それほど難しい理由じゃないよ。単に恨むとか憎むとかが苦手なだけだ」
「・・・・」
「スピ、お願いがあるんだ。
これを受け継いで、次の世代に渡してくれ・・」
「それは!」
青年が取りだしたのはマイクロチップだった。
「・・・・にーさん、それに入っているのは・・・」
「良く聞くんだ、スピ・・・。
これはとてつもなく大きな力を秘めている。
悪く使えば、世界中のライダーや一般人が不幸になる。
しかし正しく使えば、きっとみんなを幸せにする力がある。
だからお前がこれを受け継いで、次の世代に渡してくれ」
「・・・ダメだよ、イングにーさん。
みんなA・Tを兵器のように使う!
確かに元々は重力子用の兵器だったかもしれない。
でもそれ以外の使い方だってたくさんある! なのに・・・」
そうだ。俺もそうだ。
A・Tで空を跳びたいと始めは思っていた。
けれども、力を手に入れるためにA・Tを使っていた。
そんな俺がA・Tを使う資格なんてあるのか?
俺のA・Tに対する気持ちは邪なものなのか?
そう考えていると涙が頬を伝った。自分のA・Tに対する不甲斐なさに。
そして気付いた。なんで先程の戦いで動揺していたのかを。
A・Tの開発がされていたからではない。A・Tを兵器として使っている事に
体験した事のない怒りを感じていたのだ。
嫌だ、A・Tは兵器じゃない! 人を誘う『自由への道具(エア・ギア)』だ!
そう認識すると、さらに涙が増えた。
「確かにA・Tは兵器だったかもしれない。
でもスピの言うとおり、使い方で変わるものだよ。
だからこれを受け継ぎ、渡してほしい。
A・Tを愛する者に!」
「・・・本当に・・・
本当にA・Tを愛する人かどうかなんて、分からないじゃないか!」
「そんなの、簡単さ」
青年は穏やかな顔で言った。
「その人はきっと、A・Tの為に本気で涙を流してくれる人さ」
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駆動鎧の勢いをつけた拳を、俺は上に跳ぶことで避けた。
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