ニシオリ信乃過去編
Trick-11_西折(にしおり)は弐栞(にしおり)
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
でも、私も知らない家族事情を出されて、勝手に試されて
勝手に当主になれと言われて、良い気持ちにはならないですよ」
「そうだろうな。あたしも依頼じゃ無けりゃ、身内と戦うのなんて御免だからな」
「あそこまで一方的な結果なのに、実際は戦いたくありませんでしたって言いたいのか?」
「依頼であれば、身内でも攻撃するぜ」
この人は・・・反省も後悔も全くないのか。
「とか言って、潤さん。
水から聞きましたよ。結構手加減していたんでしょ?
戦いの時もハンデをつけてたみたいですし。
それに『あたしを一歩でも動かしたらお前の勝ちにしてやる』でしたっけ?
一度吹き飛ばされたから信乃くんの勝ちじゃないですか?」
「か〜、これだからお前の事は嫌いで大好きなんだよ。
はいはい、勝負はあたしの負けですよ〜。
これで満足か!」
「満足しました。まぁ戯言ですけど」
「俺は、満足していない」
「ですって。どうします潤さん? 信乃くんはダメだそうですよ」
「んなもの、あたしがどうにかして出来るもんじゃないだろ。
負けだって認めたのに、これ以上どうしろっての」
「・・・・」
「・・・あーやだやだ、めんどくせ〜奴。
あたし帰るわ」
「僕は残ります。信乃くん、話があるからもう少し残っててもらっていい?」
「・・はい」
「あばよ」
「さようなら」
「・・・・」
俺は無言だったが、哀川潤は気にせずに手を振って、店から出て行った。
「信乃くん、大丈夫?」
「ええ、師匠、心配ないです。
なんと言いますか・・・哀川さんを許していないのは自分の意地だと
わかっているんですが、分かっていても簡単には許せないみたいです」
「そっか。僕の場合、許せない感情があっても理性が納得すれば許してしまう。
そういった激情に似た感情は嫌いじゃないよ」
「・・・・」
「さて、曲識さんの曲を聴くだけでもいいけど、少し雑談した方が良いかもしれない。
悩んでいることをずっと悩むよりも、別の事を考えた方が頭がスッキリする事もあるし。
君の家族事情は僕も知っているし、対象は関係しているけど
それについては触れるつもりは無いから安心して」
「・・・わかりました」
「何から話そうか? そうだね、僕が請負人の仕事の話でもしようか」
そうして、しばらくの間、俺は師匠と色々な話をした。
師匠が言っている請負人とは、簡単に言えば何でも屋の事らしい。
何でも屋と言うが、師匠がメインにしている内容はトラブルバスターのようだった。
昔から口先だけが得意と言っているし、俺も尊敬するほど話が上手い人だが
まさか本当に口先を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ