ニシオリ信乃過去編
Trick-11_西折(にしおり)は弐栞(にしおり)
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てきた。
コンコン
「あ〜。どうぞ〜」
なんだから頭が知恵熱でイッちゃっているから、返事は適当になった。
「失礼するよ」
「えっと、どなたさまで・・・・もしかして、師匠?」
「その呼ばれ方も久しぶりだね」
口元を少しだけ開けて微笑を浮かべたのは30代程の男性。
まだ母上が生きていた頃、年に1〜2度ほど家に遊びに来てくれていた人だ。
師匠と呼んではいるが、この人に弟子入りしているわけでもない。
ただ単に名前が解らないからそう呼んでいるのだ。
母上も≪師匠≫と呼んでいて、師匠と言う言葉の意味を知らない頃から会っていたから
自然と俺からの呼び名も≪師匠≫となってしまった。
とは言ってみても、この人の≪戯言≫なる言葉遊びは弟子入りしたくなるほどすごい。
本人はしょせん口先だけとのことだが、戦わずして勝負する方法を知りつくしている。
そんな人を尊敬(笑)しているから、≪師匠≫という言葉も満更間違っていない。なんて戯言だけど。
しかし師匠と会ったのはずいぶん前だ。そんな人がなぜ俺の病室に?
「どうして・・・」
「うん、潤さんに頼まれたんだ」
「潤さん・・・哀川潤ですか?」
「そう」
師匠も関係者なのか?
「そうだよ。僕の名前、≪位置外≫だからね」
位置外、いちがい、壱外。
俺の西折と同じ、本来の所属でもないのか。
「なかなかいい判断能力だね。友と水が欲しがるのも分かるよ」
「あの、師匠、さっきから俺、何も言ってないですよね?」
「ただの簡単な読心術と、会話術だよ。
君が次に言うセリフは『いや、心を読まないで』・・・だ」
「いや、心を読まないで。・・・・はッ!」
ホントに読んでるよこの人!
「冗談はここまでにしておいて、僕が来たのには理由があるんだ」
「・・・哀川潤に何を言われたんですか?」
「別に大した事ないけど・・・それよりも潤さんの呼び名、注意した方が良いよ。
『上の名前で呼ぶな下の名前で呼べ。あたしを苗字で呼ぶのは敵だけだ』って言われるよ」
「・・・別に敵認識でいいですよ」
「拗ねないでよ。潤さんからは信乃くんの退院手伝いをしてくるように言われたんだ」
「え? なんで哀川潤が?」
「潤さんは姫ちゃん、君のお母さんである≪西折一姫≫、旧姓≪紫木 一姫(ゆかりき いちひめ)≫の
保護者なんだよ。信乃くんにしてみれば、戸籍上ではおばあちゃんみたいなもの。
会って早々に戦ったみたいだけど、潤さんとしては信乃くんを気にしているんだよ」
「・・・・」
「とにかく、退院の準備をして。手続きとかは僕の方がやって
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