ニシオリ信乃過去編
Trick07_“俺”の中の歪みを治してくれるって言うんですか?
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「その材料ですと、今夜はシチューですか?」
「さすがね。料理は私より上手だから信乃にお願いしたいけど、
テッサちゃんのお気に入りは信乃だもの。テッサちゃんの相手は任せるわ」
「可愛い女の子に好かれるとは光栄ですね」
「ちなみに私もあなたを気に入っているのよ」
妖艶な笑みを浮かべるビバリーさん。
「結構です、お断りします」
俺は満々の笑顔で返した。
ビバリーさんは口をヘの字に歪めたが、たいして気にしていないようですぐにいつもと同じに戻った。
「・・・信乃、あなたロリコン?」
「違いますよ。ただ、愛ではないけど純粋な好意を向けられて嬉しい事と、
男の子を誑かしそうな人の言葉とでは、当然返事は違ってきますよ」
「つれないわね」
いつものようにビバリーさんの誘いに距離を置く返事を俺は言う。
戦場でひどい目に合わされた女性を見たせいで、女性に対する性欲的な意味の興味は持たなくなっている。
そしてひどい目にあわされていたからこそ、女性に対しては優しくも距離を置く姿勢を持つようになっていた。
本当はビバリーさんもファミリーネームのシースルーと呼びたいところだけど、フレンドリーなビバリーさんから≪シースルーなんて型苦しい! ビバリーって呼びな。私も信乃って呼ぶから!≫とお願い(強制)されたので今の呼び方になっている。
「西折さん! ビバリーお姉ちゃん!」
ちょうど向かいから銀髪の少女が手を振りながら走ってきた。
この少女はテッサ=マデューカス。現在、俺達2人がベビーシッターとして面倒をみている7歳の少女だ。
「こんにちは、テッサさん」「よ、テッサちゃん!」
「こんにちは! 今日も宜しくお願いね!」
ペコリと可愛らしくお辞儀をする。
母親を早くに亡くし、父親が警察官と少し変わった環境で育ったためか
幼いながら礼儀正しくて元気な少女だ。
「今日はいつも以上に元気が良いわね。何かいい事あったのかしら?」
「あのね! 今日学校でね!」
ビバリーさんとテッサちゃんが仲良く雑談していく。
テッサちゃんは人見知りしないから俺だけがお気に入りというわけじゃなく、ビバリーさんとも充分に仲が良い。微笑ましい光景に俺は一歩後ろに下がって歩き、2人の話の邪魔にならないようにした。
テッサちゃんの家に到着し、決めていた通りに俺は勉強を教えてビバリーさんは夕食の準備を始めた。
テッサちゃんには父親のリチャード=マデューカスさんしかいない。
夕食はいつもリチャードさんが帰ってきてから4人で食べている。
今日もその予定だったが、リチャードさんから電話が掛かってきた。
「はい、マディーカスっす」
『
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