暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
妖精の堕ちる時
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「お願い、私達のギルドを・・・皆の帰る家を守る為に、幽兵(シェイド)を倒して!」
「御意のままに」

ルナティックロアは向かってくる幽兵(シェイド)を睨みつけると、その手に純白の弓矢を握る。

「愚者に聖なる裁きを・・・天使の矢(エンジェルアロー)!」
「グガアアアアアアアアアッ!」

ヒュンヒュンと空を切る音と共に、光を纏った矢が幽兵(シェイド)に刺さっていく。
アイゼンフロウは大きく口を開け、幽兵(シェイド)を呑み込み、それを動力に黒い咆哮を放つ。

「中でナツ君たちが頑張っているんだもの・・・私だって諦めない!」

そしてそこから離れた場所では。

「む」

ライアーが自身の槍『フィレーシアン』を一振りし、幽兵(シェイド)を滅していた。
そこからリズミカルにステップを踏み、身の丈を超える長さと化したフィレーシアンを頭上でくるくると振り回す。

「ハァッ!」

フィレーシアンを横薙ぎに振るい、幽兵(シェイド)の体に何やら文字を描いた。
ライアーが槍の先端を地面に刺すと、そこから灰色の魔法陣が展開する。

「夜の帳よ・・・我が敵を砕け・・・」

ライアーが静かに呟くと、幽兵(シェイド)に描かれた文字が淡い光を帯びる。
そして槍を抜き、勢いよく振り下ろした。

「撃砕連斬!」

すると、文字が強く発光し始める。
次の瞬間、幽兵(シェイド)はフィレーシアンに斬り刻まれ、描かれた文字から流れる魔力に砕かれ、消えた。
それを見たクロスも剣を振るい、叫ぶ。

「もう一息だ!今、ドラグニル達が必死に戦ってくれている!俺達も全身全霊をかけて、俺達の家を守り抜くぞ!」

そう叫んだはいいものの、クロスには1つ不安要素があった。

(マズイな・・・相手は魔力さえ尽きなければ無数に現れる。だがこっちは生身の人間、魔力が尽きてしまえば戦えん。負傷者も多い。シュトラスキーの様に回復系魔法を使える魔導士もいない。今はまだ俺達が残っているが・・・ギルドがやられるのも時間の問題かもしれないな・・・)

クロスは一瞬そんな考えを巡らせたが、すぐに首を振ってその考えを消す。

(大丈夫だ。中にはドラグニルにスカーレット・・・それに姉さんもいる。こんな事を考えていると姉さんが知ったら「バカじゃないの?」と言われるな・・・今は出来る事をする、それだけだ!)








操縦室に、とてつもない轟音が響いた。
その轟音の原因は、火竜(ナツ)鉄竜(ガジル)・・・二人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の拳がお互いの顔面に決まった事にあった。
その有り得ないほどの衝撃に、2人は吹き飛ばされる。

「ひえええっ!」
「あぶぁ!」
「うおおおっ!」
「何なんだよコイツ等ー!」

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