第二話 博打
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を顰めた、どうやらこの男も爺さんが苦手らしい。もっともこの老人を苦手に思わない奴が居るのかどうか……。
「リュッケルト少将、口出しは無用に願いたい」
「そうだ、口出しは無用だ」
リューネブルクと俺が言うと爺さんが笑い声を上げた。
「止めたりしねえよ。それよりだ、どうせやるんなら派手にやろうぜ。グリンメルスハウゼン子爵の大将昇進パーティに華を添えるんだ」
何言い出すんだ、このジジイ。俺とリューネブルクが唖然としていると爺さんが勝手に喋り出した。
「賭けようぜ、俺が胴元になる。率は十対一だな、不満そうな顔をするんじゃねえよ、リューネブルク少将。お前さんは白兵戦技の達人だろう、妥当な線だぜ。ん、小僧、お前酔ってるのか、んじゃ十五対一だな。今人を呼んでくる、皆暇を持て余しているからな、喜ぶぜ。勝手に始めるんじゃねえぞ、お前らにも分け前やるからな」
リューネブルクがまた顔を顰めた。“話にならん”と吐き捨てると俺を見て“運が良いな”と言った。そして妻を抱えるようにして出て行った。……どうすればいいのだろう、助けてくれたのだろうか、だとすれば礼を言うべきだろうが爺さんは“終わりか? つまらねえな”と残念そうに呟いている。どう見ても助けてくれたようには見えない。取りあえず爺さんに近付いた。
「爺さんも来てたのか?」
「一応俺も昇進したからな、招待状が来た。まあ大将閣下への最後の御奉公だな」
爺さんがニヤリと笑った。そして“運が良いな”と言った。どうやら俺は助けられたらしい。もっとも礼を言う気にはならなかった。
爺さんの昇進はいち早く反乱軍の接近を察知しグリンメルスハウゼン艦隊に報せた事、そして基地攻略部隊の収容に頭を痛める司令部に自分の艦隊がそれを行うと意見具申して本隊を反乱軍迎撃に向かわせた事が認められての事だった。地味だが献身的な働きをする、そう評価されたらしい。
もっとも現実はかなり違う。爺さんの艦隊は五百隻に過ぎなかった。そこに十万の基地攻略部隊を収容したのだ、艦の中は通路まで人間で溢れかえった。“これじゃ戦闘は無理だな”爺さんの言葉に俺も已むを得ない、そう思った時だった。“まああの御老人の指揮で戦うのは御免だからな、後ろで見物しようぜ”そう言ってニヤッと笑った。俺もリューネブルクも唖然とした。このジジイ、最初からそれが狙いだったらしい。煮ても焼いても喰えない強かさだ。叩き上げというのはこういうものかと思った。
「リューネブルクも辛い立場だな」
「……」
「オフレッサー上級大将に取り入ろうとしたらしいが嫌われたらしい。奴に嫌われては地上戦の指揮官としては出世は難しいだろうな」
そうなのか、と思った。この爺さん、何処からそんな話を仕入れてくるのか……。
「爺さんはあの噂を知っているのか?」
「奴が皇族
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