九話
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果敢な突撃と霞、楼、ペテレーネの絶妙な用兵術。それら全てを統括するファーミシルス、リウイ、詠の統率力の前に寄せ集めだった曹操軍の士気は壊滅的に下がった。
その状況で新参の将兵の中には逃げ出す者も出て来た。
「逃げるな、貴様ら。それでも曹操軍の兵士か」
「俺達は元々、皇帝陛下の兵士だ。曹操がどうなろうと知った事か」
「貴様ら、華琳様を侮辱する気か」
「侮辱して何が悪い、俺達をこんな目に合わせて」
「っ成敗してくれる」
「ここに居たって、仲間割れか。敗軍とは見苦しいな」
「貴様、だれだ?」
「董卓軍の将、華雄。おい、そこの者達、逃がしてやるからさっさと失せろ」
楼は逃げ出そうとしていた者にそう言った後、なだれ込む様に兵士達が消えていった
その光景を見た楼は冷笑した。
「無様だな、夏候惇。私は他の陣を担当しなければならない。ではな」
「貴様、逃げる気か。私と戦え」
「生憎、貴様と一騎打ちするほど、私は暇ではない。好きなように喚け、貴様を見ていると昔の私を見ている様で虫唾が走る」
そう言って楼は去り、夏候惇は惨めさと己の無力に膝を折った。
しばらくして、夏候惇を討ち取ったとの報があがった。
逃げ出した者は元は曹操が新規に配下にした禁軍の将で曹操の為に戦う気など毛頭無かった。リウイは逃げるものは追わないと曹操軍に言いふらし、動揺している所に容赦なく攻撃していった。
そうして曹操軍は崩れていった。
曹操軍の崩壊は拡大し、夏候惇が討ち取られたとの報を聞き、遂に曹操の本陣にまで逃げ出す者が出始め、曹操軍は完全に崩壊した。
「ここまでね、私とした事が最後に兵達の選抜を誤ったわ」
「いえ、それは軍師たる私の責です」
そういって旬ケは曹操を慰めたが曹操はかぶりをふった。
「もういいわ、私は失敗した。あの時、上洛さえしなければよかったのだから」
そう言って曹操は自害した、その傍で旬ケの亡骸も発見された。
董卓軍は二倍の曹操軍に勝利し、その勇名を大陸に知らしめた。
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