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第六十五話 常識の通じない者
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ローカルティ−−」

ソレイユが手を掲げると巨大な炎が現れた。

「−−エターナル−−」

突如現れた炎は徐々に細長く延びていき巨大な槍の形となった。

「−−エンド!」

魔法名を言い終えると、ソレイユは炎で出来た巨大な槍を人型巨人の顔面に向かって投げる。ここにきてようやく人型の巨人はソレイユの存在に気づき、人型ではない巨人への攻撃をやめソレイユの方へ向きなおるが、その顔面には炎の槍が突き刺さった。
爆発する炎の槍。燃え広がる爆炎。容赦なく人型邪神を襲う炎。その炎を身に受けながら悶え苦しむ人型邪神。遠目に見ていたきりとたちにはそのように映っていた。
ローカルティ・エターナル・エンド。特殊魔法に分類される複合魔法(マルチ・スペル)の一つ、≪罪を裁きし審判の焔≫を習得したものが使える魔法で、威力は上の下、その効果はターゲット及びその周辺を焼き付くすというものである。また、それに加えてメインターゲットには継続的にダメージを与える、という効果も付属している。ルシフェルの持つ複合魔法(マルチ・スペル)≪響きわたる黒き雷鳴≫の中の≪ストリーク・デス≫と同等の威力があるのだ。
だが、それだけでは人型邪神のHPは削りきれなかった。人型邪神はターゲットを人型ではない邪神からソレイユに移すと、炎に焼かれながらも手に持っていた鉄剣を振りあげながらソレイユに迫る。だが、大した同様も見せずソレイユは体を少しだけ右に反らす。次の瞬間、先ほどまでソレイユがいた場所を邪神の鉄剣が通り過ぎて地面にたたきつけられた。地面の氷が飛び散る中、ソレイユがダメージを受けた様子は見られない。邪神は今度は四本の腕すべてで攻撃を仕掛けていくが、その悉くをソレイユは紙一重で交わしていく。

「ほら、がんばれがんばれ」

挙げ句の果てに邪神を応援する始末である。それに怒ったのか邪神はエンジン音のような鳴き声をあげて攻撃速度を速めるが、それでもソレイユには掠りもしない。

「ジェネシアスの方がやっぱりめんどかったな」

そう呟き、邪神の攻撃をかいくぐりながら距離を取ると――

「シン・イクリシス」

魔法名を口にした直後、人型の邪神は炎に包まれてエンジン音のような鳴き声をあげながらポリゴン片となって砕け散った。
それを遠くからみていたリーファは唖然として開けた口がふさがらも、気力をふりしぼって一言呟いた。

「ルグルー回廊のことと言い、ソレイユ君に常識ってないの?」

その言葉に反応したのはユイだった。もはやソレイユの常識外の行動に慣れたユイは失礼極まりないことを言ってのけた。

「にぃにに常識を求めることが間違ってます」

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