フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第六十七話 立ち塞がる者
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らそのナメクジを睨む。それにナメクジはおびえながら口を開く。
「じょ、冗談っす、冗談!」
その言葉を聞くと殺気を抑えると鳥籠のある方へと歩いていく。それに続く形でナメクジたちも歩を進める。そこまで来てアスナはようやくアクゼリュスを睨みながら口を開いた。
「ルナに何をしたの!」
冷静に問いかけようとしたのだろうが、その声は荒げてしまっていたが当の本人には関係なかった。アクゼリュスはそんなアスナを一瞥すると、アスナの睨みもどこ吹く風で口を開いた。
「脱走したからお仕置きしただけよ?」
「お仕置きって・・・っ!」
それ以降アスナが何を言ってもアクゼリュスが答えることはなかった。そして、鳥籠につくとナメクジ二匹はアスナを鳥籠の中にいれると、格子戸を閉めようとしたところ、アクゼリュスがまだ鳥籠の中にいるので声をかけた。
「姐さん、閉めちゃいますよー」
「先に行きなさい」
アクゼリュスがそう返答するとナメクジの一匹が不満の声を上げる。
「えー、姐さんだけお楽しみなんてずるいっすよ」
「おい!バカっ!」
不満をあげたナメクジを咎めるようにもう一匹のナメクジが言葉を止めようとしたが、時はすでに遅かった。
「そう、そんなに死にたいのね」
いつの間にか刀を実体化させていたアクゼリュスはルナを抱えているにも関わらず器用にゆっくりと鞘から刀を抜く。それに焦ったナメクジたちは名残惜しさなどなく脱兎の如きスピードで即座に鳥籠から遠ざかっていく。
「まったく」
ナメクジたちに対して呆れた声をあげると、アクゼリュスは鳥籠の中のベッドにルナを優しく寝かせ、顔にかかった髪を優しく直す。ルナを見つめるその表情はとても慈愛に満ちていて、とても剣を持ってお仕置きをする人物には見えない。だが、そんなアクゼリュスの表情はアスナの方から覗き見ることはかなわない。終始アクゼリュスのことを警戒するアスナだが、アクゼリュスはそんなことお構いなしに――
「それじゃ、次は見つからないようにがんばりなさいな」
それだけ言うと、ウインドウを操作してログアウトしていく。それを見送ったアスナはベッドに眠るルナの脇に横たわると、隠し持っていた銀のカードを枕の下に隠してから眠りについていった。
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