フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第六十七話 立ち塞がる者
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・・・それは、なんで?」
よく知っている人物と同じことを喋るルナ。今の彼女と過去の影をいやでも重ねてしまったアクゼリュスは咄嗟に疑問を投げかける。
「わたしが・・・わたしが、一人の“剣士”だからだ!!」
アクゼリュスを見据える瞳に不屈の光を輝かせながらルナはそう宣言する。奇しくもそれは、アクゼリュスがよく知る“彼”と同じ言葉だった。ルナの背後には見えるはずのない彼の姿をアクゼリュスは幻視した。してしまった。
「そっか・・・そっか・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・?」
精神的な疲労からくる息切れに肩で息をしながらアクゼリュスを見据えるルナ。その瞳をみたアクゼリュスは何かに納得すると、嬉しそうな表情でルナの方を見る。アクゼリュスが何をおもったのかはアクゼリュス本人しか知らない。だが、その表情はとても慈愛に満ちていて安心感がある表情だった。
何が嬉しいのかルナが疑問の表情でアクゼリュスを見ていると、アクゼリュスは何かに気が付いたようにアスナがくぐっていった扉の方に眼を向けた。
「・・・あーあ、時間切れ、か。ごめんね、ルナちゃん。もう少し遊んでいたかったけど、もう終わりみたい」
「・・・?」
アクゼリュスの言っている意味が理解できないルナは首を傾げるが、そんなルナに気を止めることなくアクゼリュスはウインドウを開きカプセル状の薬らしきものを実体化させると、それを口に含み――
「んぅ!?」
瞬時にルナとの距離をゼロにして唇を重ねた。唐突な事態に驚き暴れようとするが体に力が入らず暴れられなかった。その間にもアクゼリュスは先ほど口に含んだ薬をルナに口移しで飲ませようとする。訳の分からないものを飲んでたまるか、とがんばって抵抗するも技術の差か簡単に飲まされてしまう。
「ん、くっ・・・な、なに、を・・・」
アクゼリュスが唇をはなすとルナは力なくアクゼリュスの方へ倒れ込む。それを優しく受け止めると背中と膝裏に手を回して抱き抱える。それと同時に二人が使用していた刀はポリゴン片となって消えていった。
「あれぇー、姐さんじゃないっすかー」
唐突に響く声。声のした方をむくと二匹のナメクジとその触手に捕らわれているアスナの姿が目に入った。アスナとナメクジの一匹がアクゼリュスの方を見るとその腕に抱えられている衣服がぼろぼろのルナを捉えた。
「る、ルナ!?」
「うひょぉー、どうしたんすか、その娘!」
やけにテンションの高いナメクジにアクゼリュスは特に気にした様子もなく答える。
「脱走しているようだったから少しお仕置きしただけよ」
「あらら、かわいそうに。一つ提案なんスけど、その娘も俺に――」
と、下心満載で言葉を続けようとしたところで、アクゼリュスが殺気を醸し出しなが
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