フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第六十七話 立ち塞がる者
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ちこめる中、相対するルナとアクゼリュス。だが二人の表情には両極端なものだった。余裕の笑みを浮かべながらルナの出方を窺うアクゼリュス。対してルナは冷や汗をかき、その表情には強い焦りが浮かんでいた。
「(この人・・・打ち込む隙が、ない・・・っ!)」
「どうしたの?」
相変わらずにこやかな笑みを浮かべているアクゼリュス。ルナのように正眼に構えるのではなく、特に構えというものはせずにいた。素人が見たら突っ立ってるようにしか見えないが、熟練者からの視点で見るとそう言うとり方はできない。
「こないなら――」
「っ!?」
「こっちから行くよ」
ルナの懐にアクゼリュスが飛び込んだ。迎撃するまでもなく簡単に進入を許してしまったルナは距離をとるために下がろうとするが、アクゼリュスがそうはさせてくれなかった。下がればその分距離を詰めてくる。ならば、とルナは自身が下がり距離ができた瞬間にアクゼリュスに向かって刀を振るうが簡単によけられ反撃を許してしまう。
「ふふっ。甘いよ、ルナちゃん」
「くっ!?」
アクゼリュスが刀を横薙に振るう。当たると思われたそれはルナの刀によって防がれる。ギィンッという甲高い金属音が装飾のない通路に響き渡る。
「おおっ!よく防いだね。それじゃあ、どんどん行くよ」
まだまだ余裕のあるアクゼリュス。だが、ルナはいっぱいいっぱいで答える余裕がない。しかも、アクゼリュスの刃が四方八方からルナに襲いかかる。必死に防ぎ、避け、受け流しながら何とかしのぐが、徐々にその刃がルナを捕らえ出す。仮想世界であるため肌を斬っても血が出ることはない――とはいっても、傷を負ったエフェクトは発生する――ため、衣服はぼろぼろになっていく。それでも何とか突破口を探そうとするルナだったが――程なくして地面に伏すことになってしまった。
◆
時間は戻り、現在のルナは何とか立っていられる状態でもはや戦えるだけの力は残されていない。それでも、その瞳から闘志が消えることはなかった。
「どうしてまだ立つの?こんなに圧倒的な実力差があるんだし、そのまま倒れてたって誰も文句は言わないよ?」
「・・・も、文句を・・・」
「うん?」
掠れながら聞こえてくるルナの声にアクゼリュスは耳を傾ける。
「・・・文句を、言われたくないから、はぁ、立つんじゃないんですよ・・・」
「じゃあ、なんで立つの?」
「知ってる、から・・・」
「何を?」
「どんな、難関が、迫ってきても・・・決して、あきらめない人を、知ってるから!最強と呼ばれた、剣聖と呼ばれた人を知ってるから!」
「・・・・・・」
「諦める選択肢なんて最初からない!死ぬその時まで剣を捨てることは絶対にない!」
「・・・
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