第二話
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ッドにカーテンが掛かっていたが他に客はいなかった。椅子に座った一人の男子生徒が扉の開く音に反応してこちらを向く。
「ん? ああ怪我人か」
レイフォンの姿に気づいた青年は少し考えるような素振りを見せ、消毒液などを用意しレイフォンを手招きする。
その様子からして恐らく看護員、なのだろう。恐らく、とついたのは包帯が見え隠れする青年の風体が満身創痍のものであり、寧ろ明らかに彼の方が怪我人であったからだ。
「どうしたんですかその怪我」
「獣の相手をしていた。まあいつものことだ」
新薬の実験や血清など、医療方面で動物を使うことは普通だが、ここまで怪我をする様な相手を扱う事もあるとはレイフォンは知らなかった。医療の裏側は随分と体当たりな現場なのだなと感心しながらレイフォンは用意された椅子に座る。
「頬に裂傷で僅かだが血が滲んでいるな。その程度なら消毒して絆創膏を貼れば十分だ」
椅子に座ったレイフォンはグリグリと液が染み付いたガーゼで傷口を拭われ、絆創膏を貼られる。上から指でなぞるとそれ特有のゴム質の様な感触が指に伝わってくる。
それがお節介だとはわかるが、レイフォンは突っ込まざるを得なかった。
「あの、その傷大丈夫ですか? 少しベッドで寝ていたほうがいいんじゃ」
「さっきまで寝ていたから気にするな。いつものことで慣れている」
道具を仕舞い終わった青年は立ち上がると壁に掛けたあった服と机の上にあった荷物を取る。武芸科制服の上着と錬金鋼だ。それも錬金鋼は四つ。それだけ多いのは珍しい。
「武芸者、だったんですか」
「俺は怪我人だよ。この部屋の本当の主はそこのベッドで寝てる。……ああ、だからといって知識がないわけじゃない。常連だからな。俺よりも軽い怪我の対処なら代わりは務まる」
「って事はその傷は……でもさっき獣って。てっきり医療科だと」
「似たようなものだ。野獣みたいなもんだよあいつは。それに医療科がこんな怪我するような獣を普通扱うわけ無いだろ」
「……そうですね」
青年はベッドの脇に行き、かかっていたカーテンを開く。そこには部屋の主である白衣を着た小柄な女生徒が気持ちよさそうに寝ていた。青年は濡らした雑巾をその顔あたりに放り投げる。
「いいんですかそれ」
「患者に対処を任せる横着だ、気にするな。五分くらいで起きるだろ」
何か呻き始めたが本当にいいのだろうか。
雑巾を取るべきか考えていると医務室の扉が開き、クラリーベルとフェリが入ってくる。
「終わりましたか?」
「さっさと帰り……」
青年の存在に気づいたフェリの言葉が止まる。
暫しの沈黙のあと青年の視線がフェリを見つめ、そしてレイフォンたちに視線を移る。
「何だ、こいつは新入隊員か」
「制
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