第二話
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フォン一人で放っておいても良かったが、相手が顔見知りとなると違う。万が一を潰すために、仕事のためにクラリーベルはついてきた。
「身内に甘いですからね。強気に言い寄られれば間違って折れるかもしれませんので」
「そうか。私としてはクララ、お前でもいいのだが」
「ご冗談を。魅力的なお誘いですがあれは挨拶ですよ」
最初の握手を挨拶だとクラリーベルは言う。ニーナからしたら気づかぬうちに手を握られていたそれを。
「生憎だが本人に聞かずに諦める気はないぞ」
「そうですか。どうぞご自由に」
自分がいる以上認めるはずがない。クラリーベルは暗にそう言い放つ。
ニーナはレイフォンに近づきその肩を叩く。振り返ったレイフォンの肩を両手で力強く掴み笑顔を浮かべる。
「レイフォン、小隊に入らないか」
「小隊、ですか」
「都市対抗戦で中核を担う部隊のことだ。ここはその訓練用の部屋だ。私が隊長を務める第十七小隊は最少人数の四人だから空きはまだある」
小隊の下限はメカニックを除き四人で上限は七人だ。現状ニーナの隊はまだ三人分空きがある。
都市対抗戦では他の武芸者たちの指揮権を預かる立場であり、そこにいるといないとで影響が大いに違う。何かしら実力を認められたエリートだけが選ばれる。そんな事を手短にニーナは説明する。
「それってつまり、僕に武芸科に入れってことですか」
「本人が望むなら認めると会長には言われている。問題はない。実を言うとお前のことも会長から教えてもらったんだ」
会長室でのあれから舌の根も乾かぬうちのこれ。レイフォンには問題しかない気がした。
「小隊はいいぞ。皆の憧れの立場だ。入ろうレイフォン。共に切磋琢磨し青春の汗を流そうじゃないか」
「いえ、別に僕は」
「いいじゃないか。細かい事は気にするな」
肩を掴み顔を間近にニーナは胡散臭さえ感じるイイ笑顔で言い放つ。もはや交渉も何もない力技の類だ。知り合いの間だけで使える強引さもそこにはある。
「あの日の約束を果たしてくれレイフォン」
言い放たれたその言葉に一瞬レイフォンの目が泳ぐ。その瞳がニーナの背後にいるクラリーベルを捉える。
小さく一度クラリーベルが頷く。
「すみません、無理ですニーナさん。武芸科に入るわけにはいかないので」
「そうか、残念だ」
あっさりとニーナはレイフォンから手を離す。ニーナの性格からしてもう少しあきらめが悪いと思ったレイフォンはやや不思議に思うがこれ以上の追求が来ずに済んでホッとする。
そんなニーナをクラリーベルは見る。レイフォンは一瞬迷いを見せた。やはり身内からの強い押しには弱い。
前もってクラリーベルが釘を刺さなければニーナも力技をしなかった。わざわざこんな場所に連れ込んで
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