第二話
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くなりたいと言っていた事もある。
シュナイバルでの知り合いだけで話したいという思いもレイフォンの中に無いことはないが、ニーナが良いと言った以上そこまで拒否するつもりはない。クラリーベルには理由もあるというのだ。
帰ると言ったアイシャをレイフォンは見送る。どこかに寄ると言っていたが今更ながらにどこなのか気になってくる。本が好きだから本屋でも探すのだろうか。
ニーナは髪を直すのを諦めたらしかった。寝癖のようにぼさぼさになった髪の毛に左右に作られた短く雑なツインテール。前髪は上げられて髪留めで抑えられオールバック。やったフェリは変わりない無表情だがどこか満足気だ。
「うわぁ」
つい言葉が漏れてしまったレイフォンは悪くないだろう。それが聞こえたらしくニーナは渋い顔でさっさとツインテールを解く。
一回やって満足したのかフェリも再度結ぼうとはしない。だが髪留めを取ろうとしたニーナの手は抑える。
「そっちは駄目です。それと飽きたので降ろしてください。自分で歩きます」
「……はぁ」
どこか疲れた溜息を吐きニーナはフェリを地に降ろす。言い方は悪いがそのため息には酷く貫禄があるようにレイフォンは感じた。
律儀なのか諦めたのかは分からないがニーナは髪留めを取らず、乱れた髪を軽く手で直しながらレイフォンたちの方を向く。
「では行くか。少し歩くぞ」
歩き出したその背を見てあの日の、夢を語られ別れたあの日がレイフォンの脳裏に思い浮かんだ。走って遠くに行ったと思った背中が目の前に会った。
二年.一生から見れば短く、けれど子供からすればきっと長い時間。踏み違えた自分とは違い真っ直ぐに進んできたのだろうとレイフォンは思う。
湧き上がった懐かしさを振り切り、詮無きことだと心から捨て去る。気にしすぎてもしょうがない。
三歩先にあるのは今のニーナの背中。そして思うのは先ほどのニーナの、今の姿。
「あ、そうだ」
呟きにニーナがレイフォンを振り返る。今の姿である、オールバックのその髪型が目に映る。
ひどく様になっていて先ほど思い出したそれを、そして今再びまじまじと見てレイフォンは思った。
「ニーナさん、かっこよくなりましたね」
掛け値なしの本音。
返ってきたのは何かを諦めた瞳と沈黙だった。
向かった先は講義棟などが並ぶ学内だった。レイフォンたちの教室がある棟よりももっと奥に向かった先、建築年数を感じさせるやや古ぼけた大きな建物。
小隊毎に中は区切られていて一室が広い。本格的に戦わなければ武芸者が十分に動けるだけの広さはあるようだ。
余り物も無い殺風景な空間。天井の高さや壁の作りから武芸者が動く事を想定されているだろう事がわかる。転がって
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