第二話
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らず自らへの侮蔑にも通ずる言葉。けれどそこに隠れているのは自らの都市への自信にも似た矜持だ。
どこか得意げにも聞こえるようにクラリーベルは言う。
「使えるなら使う、使えぬなら使わぬ。悪い言い方ですが、私もレイフォンも、グレンダンではいざとなれば換えが効く程度なんですよ」
それがグレンダンの異常な点。天剣という超常者を、他都市ならば頂点に君臨できる武芸者を多数有している。
だからこそ、他都市ならば喉から手が出るほど欲されるレイフォンの武もその程度に収まってしまう。
「……本当に同じで、違うんですね」
光が消える。その声は何か感情を押し殺したもののようにレイフォンには聞こえた。
期待していたものが期待通りの形を得ていた事への落胆。どうか裏切って欲しいのだと、そんな期待を抱いていたかのような声。
同類と、非同類。
きっと、その分かれ目だったのだろう。
――ああ、彼らは仲間ではないのだ。
そう告げるように。
私は、と。誰に向けたわけでもなく独りごちる様にフェリの口から言葉が紡がれていく。
「サントブルクの家で膨大な才を持って生まれました。物心着くより早く傍らには錬金鋼が置かれ、それが当然だと生きてきました。それ以外の選択肢など有り得ないとされ、私自身何の疑問もなく念威操者になるのだと思っていました」
「けれどその考えに疑問が生じたと」
「ええ。ある時、その当然を当然だと思え無くなりました。生まれた時からただ一つの道しか与えられず、疑問を抱くことすら許されない。それなのに自分の周りは皆将来への希望を抱き夢を語る。酷く不公平に思えてその思いを親に告げました」
「で、当然認められるわけがなかったと」
つまらなそうにクラリーベルが呟く。返答がない事がその結果を示していた。
だが、フェリに与えられたそれは当たり前の結論だ。
汚染物質によって電波障害があるこの世界において念威はレギオス外の情報収集において重要な位置を占める。情報は戦いの要だ。いかに早く、多くの情報を得られるかで戦局が変わる事もある。
都市線ならば一方的戦果を得られる可能性もある。特に汚染獣の発見に関して言うならば存亡に関わる事案だ。早期に発見できていれば入念な準備が出来るし別方向に誘導する、という戦いを避ける選択肢も選べる。
例を挙げるなら天剣の一人であるデルボネだろう。彼女は汚染獣の襲来を数時間ではなく数日単位で前に発見できる。髪の全体発光をレイフォンが見たことなかった以上フェリの才能はグレンダンでもトップクラス、天剣に比する可能性もある。一般都市ならば外になど出さず囲い込まれるのが普通だ。
レイフォンにはフェリの言わんとすることが何となくはわかる。だが、それを許さない現実も当然のものとして分かる。
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