暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五七幕 「支線、視線、死線」
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てしまえばいい。そのための投桃報李による斥力バリアだ。
そして同時に簪がある異変に気付く。
「甲龍が居ない・・・!?何所に・・・」
その瞬間、突貫してきた風花の影から這い出るように赤い鎧が姿を現した。簪は遅れて2人が何をやったのかに気付くが、すでに遅い。懐に入り込まれるまでに気付けなかったのは失態だった。
「
?好
(
ニーハオ
)
、簪。“いつもの”アンタならこれくらいすぐに気付いただろうに・・・ねっ!!」
憎い事に鈴とジョウの二人は
突撃
(
そこ
)
にもう一つ仕込んだ。風花が前、甲龍が後ろの直列フォーメーションで噴射加速と瞬時加速を同時に行なったのだ。直列ならば甲龍は風花を盾に懐まで潜り込める。通常ならば速度で劣り持続時間も短い瞬時加速を使えば先に甲龍が減速し引き離されが、ここで二人は「スリップストリーム」に目を付けた。
高速で移動する物体の後ろは正面の空気を押しのけた分気圧が下がり、発生した空気の渦が周囲の物体や空気を吸い込むという現象が起きる。それがスリップストリームだ。大型トラックが通り過ぎた後に起きる風なんかもそれによって引き起こされている。この現象が起きる空間は空気抵抗も減少しているため、ここに甲龍がぴったり入りこめば風花の加速による吸引効果・空気抵抗の減少といった恩恵を受けられるのだ。
説明が長くなったが、それをあえて要約するならばそれは「二人はシャルと簪の弾幕を突破し、遂に懐に入り込んだ」の一文に他ならない。
弾幕の突破と同時に第2射を防ぐための行動に移る。ユウはフィンスラスターによる強引な方向転換でそのまま打鉄弐式へ。スリップストリームから脱出した鈴はそのままシャルに衝撃砲を撃ちながら接近する。
「シャルッ!!!」
「あははっ、まさか第1射を突破してくるなんて!所詮まだ子供だって油断してたかなぁ〜〜!!」
「アンタは・・・何で!!」
不可視の弾丸をシャルは眉一つ動かさずに回避する。恐らく簪から詳細な龍咆のデータを聞き出したうえで対策を取っていたのだ。射角に制限が無かろうが不可視だろうが衝撃砲は無敵の兵器ではない。発射には前兆があるからそれさえ正確に見極めれば避けるのは可能だ。
それだけの実力がありながら、どうしてこの女は洗脳などと言う卑劣極まりない方法を取ったのか。
鈴には分かる。理屈ではなく感覚で、簪の心は悲鳴を上げ助けを求めている。思考を無理やり誘導され、シャルの意のままに動く身体に必死に警鐘を鳴らし、それでもどうにもならないことに嘆いている。助けて、とヒーローに憧れそれになろうとした一人の少女の声が聞こえるのだ。だからこそ、シャルロット・デュノアが許せない。
「アタシの友達を操るなぁぁーーーッ!!!」
彼女の魂を弄ぶような真似をするこの女を、凰鈴音は許しておけなかった。烈火
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