暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五六幕 「深淵を覗く者には」
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!」
「「やだね」」

実は兄弟と言われても納得できそうなほどに異口同音の拒絶だった。返答に有した時間は恐らく0,1秒以下・・・まるで予め打ち合わせをしたコントのように正確、かつ冷たい返答に簪が戸惑うが、2人は気にした様子もない。

「・・・ふたりとも、そういう言い方は・・・」
「「黙ってて、僕(アタシ)はシャルと喋ってるんだ(のよ)」」

ぴしゃりと言い放つ二人の目はいつになく鋭く、重い。なぜこれほどシャルに敵意を向けているか分からない簪はそのまま黙り込んでしまうが、当のシャルはどこ吹く風と言った風に全く気に留める様子を見せない。もしこの光景をシャル達の事をよく知る生徒が聞いていたら不自然に思うだろう。シャルは基本的に温和で、仲間内の不和は積極的に解決しようとする人物である。それがこんな事を言われても眉一つ動かさないというのはおかしい。彼女なら理由を確かめたうえで解決を図ろうとするはずだ。

「僕に何か話があるのかな?」
「白々しいね・・・けど、まぁいいさ」
「アタシ達が言うのは2つだけよ」

ユウの左手と鈴の右手の人差し指がどことなく異議がありそうなポーズでビシリとシャルの方を向く。

「「簪は返してもらう。そしてシャルはぶっ飛ばす!!」」
「・・・何言ってるの二人とも?簪はちゃんと合意の下にタッグを組んだし、2人とも目が怖いよ?」
「ジャマダイ式洗脳法・・・ジャマダイってのは邪馬台国の別称ね?女王卑弥呼は呪術使いとしても有名だし、そういう技術を持ってても可笑しくは無かったでしょうね」

瞬間、シャルの笑顔がピシリと凍りついた。先ほどから貼り付けたような笑みを浮かべてはいたが、明らかに息が止まったのを二人は見逃さない。たたみかけるように追及が始まる。

「ちょっとね、のほほんさんに協力してもらって生徒会権限で君の部屋を調べさせてもらった」
「それでアンタのベッドの下にそりゃもう怪しい本が出て来たのよねー・・・理屈は知らないけどあれで洗脳したんでしょ?催眠促進用のお香と判断力をほんのちょびっとずつ鈍らせる薬品・・・証拠としては十分よ」
「・・・もう一人の持ち物かも」
「指紋。はい論破」
「・・・偽装証拠」
「第三者として織斑先生に同伴してもらったよ。大会が終わったら説教を覚悟しておくんだね」
「・・・洗脳なんて非常識な事」
「実際に聞くかは問題じゃない。だって、どっちにしろ今のアンタにそれを証明する手段無いし」

今度こそシャルは黙り込んだ。二人は例の洗脳について、効果はあると確信している。あの本はいい加減に書いたにしては医学的に矛盾しない記述が多すぎた。ついでに言えばのほほんさんと会長の情報を統括すると、簪の様子がおかしくなるのは決まってシャルが話しかける、若しくはシャルと何らかの約束をしてい
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