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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五六幕 「深淵を覗く者には」
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家」の次期党首であり楯無の親友とも言える女性の専用機『
津野
(
オミツヌ
)
』。そして残りの一つがジョウの『夏黄櫨』だ。ミステリアス・レイディは形式的にはロシアの機体だが実質的にはIS学園所属であり、オミツヌも蓮乃月家謹製ISで実質的に学園所属だ。そして夏黄櫨に至っては学園史上初の完全IS学園所属専用機。逆を言えばそれ以外のISは所属や立場の関係で自由には動かせない。
だからこそ、ジョウには悪いと思ったがある程度裏の仕事・・・表沙汰に出来ない仕事をやってもらう必要があった。唯でさえ今の学園は4人の男性IS操縦者を抱え込んで不安定な状況なのだ。裏の仕事も増加傾向にあり2人でも首が回らなくなりつつある現状、使える戦力である彼を持ち腐れにするのはいただけない。
本来ならば護衛対象をそのような任務に行かせるなど以ての外だ。が、幸い彼は生身でもISでも国家代表クラスの腕前を誇りなおかつこう言った仕事にもある程度理解を示した人間。むしろ弟の立場に関係があるなら進んで協力するとも言いだした。
「今回の施設は少なくとも亡霊の息はかかっていない・・・そして非合法のIS所持組織は他にない。ならここには彼の命を脅かす存在はいない。1件目と2件目の任務も危なげなくこなしたし、ここで問題は起きないと思いたいのだけど・・・」
そこで楯無は顔を顰める。この工場が“何”なのかは結局不明のままだ。9割9分大それた施設ではないと思うが、万が一のことは想定しておかねばならない。
暗部としてのプロ意識が自身の取った行動を咎める。だが裏の人間として時には善と言えない判断を下さなければならない時がある。それが今回だっただけの事と自信を納得させるほかない。
「表の子を裏に引き込むような真似、したくは無かったのだけど・・・今はそれより学園内部の方が先決ね」
多くのモニターに映し出される人々の姿。多くの来賓があるとどうしても学園の内情を探ろうとする者も入り込んでしまう。そう言った人間には悟られぬようマークをつけている。そしてそんなモニターの一つにアリーナ内で対戦相手と相対する自身の妹の姿があった。
妹の異変に気付いたのはいつだったのだろう。日常生活では何の変化もないように見えた簪がおかしいと思ったのは、シャルロットから簪に声が掛かった時だ。それまで普通だった簪の目に一瞬意志が消え、言われるがままに彼女についていく光景に私は疑念を抱いた。が、結局この日までのごたごたで何もできないまま。
今だって自分には何もできない。だから、楯無は無責任だと思いながらも妹の異変の解決をユウと鈴に託すことにし、仕事に集中した。―――ジョウが信じる二人を信じて。
= = =
「ユウ、それに鈴も!さっきの試合は凄かったね!でも僕も負けないよ!?いい勝負にしようね!
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