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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五六幕 「深淵を覗く者には」
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辛いが、ISでなければ無事突破できないような何かはあるかもしれない。諜報員は死と隣り合わせの危険な職だが、その命は同時に貴重な人的資源でもある。万が一のために切り札は必要なのだ。

それを分かっていたからこそ楯無もジョウもそれに応えて今の状況に到る。知らぬ仲でもない楯無の頼みで、その上人の命もかかっているとなれば退くのも憚られた。ユウの晴れ舞台を生で見られないという大きなショックは受けたが、取り敢えず録画は頼んであるからそれで我慢せざるを得ない。

やがて潜入組の一人が隊長に報告を告げる。それはある意味待ち望んだ物、この工場の本当の中身の入り口だった。

「・・・隊長、これを」
「これは・・・」
「工場の大型排気口に一つだけ用途不明のものがあります。見取り図にもこの一つは存在しないことになっていまして、幅は縦横共に2,5メートル前後・・・ギリギリでISも侵入できるサイズです」
「そして開閉用ハッチ付き、か。内部は一本で途中から他の排気が混ざるようパイプを繋げてあるから外から見ただけでは普通の排気口だな。まるでウツボカズラの口のようだ」

言い得て妙だ。恐らくここに潜入した隊長の息子もこれの存在に気付いたのだろう。そして内部を調べようとして・・・何かが起きた。もしくはこのハッチの向こうから来た何かによって・・・と言った所か。どちらにしろ、ここを調べるには消火液を浴びても溶けない存在がまず飛び込む必要があるだろう。

『というわけだが、どうする?隊長さん』
「はい、ISを完全展開し内部を調べてもらいます。どうもこのハッチは工場の管理システムから独立しているようですのでハッキングは無理ですね。合図があったらハッチを力づくで破ってください。尚、ここからはステルス機能によるISの存在隠匿が不可能なため連絡は基本的に肉声で行います」
『了解した』

ここからが任務の本番と言える。何せこの先に失踪した諜報員の手掛かりが存在するのだから。潜入組が視察組と監視組に連絡を送りつつ持ち込んだ武装のチェックを手早く済ませ、対BC兵器対策のマスクを装着する。
ジョウがISを完全展開すると同時に電磁迷彩の機能がカットされ、既にハルバードを展開した夏黄櫨が姿を現した。

その扉の先に待つのは死神か、それとも―――

「では、ハッチを破壊してください」



 = = =



〜数十分ほど前〜

「後は結果報告を待つだけか・・・」

ジョウとの長距離通信を切った楯無は生徒会室の隠し扉の先にあるモニタールームの椅子に体を投げ出す。
実の所、更識が任務のために動かせるISは実質的にはたったの3機しか存在しない。

一つは楯無自身の専用機である『ミステリアス・レイディ』。二つ目は更識と協力関係を結ぶ「蓮乃月(はすのづき)
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