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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五六幕 「深淵を覗く者には」
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前回のあらすじ:我らがSATOさんは世界に羽ばたいた・・・


ミサイルなどISには必要ない。気が付けばIS界隈はそんな風潮だった。

ミサイルはコストパフォーマンスが低く、態々使うのは予算の無駄だ。試合会場という限定された空間ではミサイルの真価を発揮させるのは不可能だ。ミサイルは要らない子。ミサイルは産業廃棄物。ミサイルは・・・ミサイルは・・・

どいつもこいつも分からず屋ばかりだ。
コストが高いならば安価なものを開発すればいい。限定空間で使うならそちら方面に性能を伸ばせばいい。使えないと思うなら使えるように改良すればいいんだ。使い時もちゃんと選べばミサイルは素晴らしい戦果をもたらす。実弾?適当にばらまいた豆鉄砲じゃないか。ミサイルの与えられるダメージとは比べるべくもないだろう。

ホラさっきの試合だって。僕のミサイルは敵を追尾してきっちり当たった。実弾では回避行動をとったISに食らいつくなんて芸当できっこない。そしてこのノウハウを使った新型弾も素晴らしい戦果を挙げている。
認めてよ。ミサイルは強いんだよ。お前らがおかしいんだ。なのに何で雁首揃えて納得してない顔をしてるんだよ。お前らは。

ああそうか、これじゃ足りないのか。じゃあ次の試合の最後もありったけのミサイルで締めくくろう。その次も、その次もミサイルで締めくくってやれば、世界もいい加減認めるよね?―――ミサイルが最高の兵器だって。



 = = =



気温は摂氏30度前後、湿度も恐らく70%近くはあるだろう。フィリピンは赤道に近いだけあって年中夏だが気候はさほど熱い訳ではない。更識の構成員の半数は日本人なので多湿な環境にもある程度耐性があるし、雨が降っていないフィリピンは意外と過ごしやすい。ジョウもISは部分展開しているだけなので感じる温度は変わらないが、生憎この程度で音を上げたり不満を零すほど軟ではなかった。

建物内とはいえ正規の人間が通るまともな道ではないので空調などあるはずもない。下調べの段階で発見されていた侵入経路を辿り、この工場で隠し扉などがある可能性が高い場所を次々に捜索していく。それにしても、とジョウは疑問を口にする。

『・・・いやに見張りや従業員が少ないな。かといってそれほど無人化が進んでいる風でもないが』
『ええ、重要施設ならばむしろ警備は厳重なのが普通です。だからこそこの工場にそれほど重要な秘密はないと前調査の段階では踏んでいたのですが・・・』
『入り込んだその日のうちに音信不通か・・・この建物自体が誰かを嵌める罠かもな』
『だとしても退くわけにもいきません。そのために無理を言ってISを投入してもらったのですから』

無表情を顔に張り付けたまま足を進める隊長。
この工場にISをどうこうできるモノがあるとは考え
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