第三十八章
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第三十八章
本郷は今度は刀で受けることはしなかった。身体を右に動かして素早くかわしてみせたのだった。鱗をすんでのところでかわした。
「そうした方がいい」
「かわした方がですか」
「そうだ。その方がいい」
役もまたその鱗達を自分の身体を上下左右に動かしながら述べたのだった。
「受ければ凄まじい衝撃が走るからだ」
「だからですね」
「それかだ」
役はここで右手に持ったままだったその剣を鱗に対して突き出した。そしてそこから冷気を出して鱗を凍らせて動きを止めてみせたのだった。
本郷はそれを見てだった。その刀に気を入れた。そのうえで刀を横に一閃させて前から来た鱗を一刀両断にしてみせたのであった。
「こうやればいいんですね」
「かわしても鱗はまだ生きている」
「それじゃあきりがないってことですね」
「その通りだ。わかったな」
「ええ、よく」
言いながら再び鱗を一閃する本郷だった。役もまた別の鱗を凍らせていた。
「けれど。このままじゃですね」
「ラチがあかないというのだな」
「そうですよ。ほら、また鱗を出してきましたし」
言っている側からだった。邪神はまた鱗を出してきた。そのうえで二人を切り裂かんとし続けているのだった。まさに刃の嵐だった。
「このままじゃ俺達真っ二つにされるか」
「よくて怪我を受ける」
「怪我を受けたらどちらにしろ終わりですよ」
本郷はこうも言った。
「血が流れたらその匂いで場所がわかりますからね」
「そうだな。匂いでな」
「海にいるやつってのは鼻が利きますからね」
鮫がその代表である。実際に彼等と深き者達との戦いにおいて鮫が出て来て勝負を終わらせている。それを思い出してもわかることだった。
「ですから」
「折角目を封じてもそれで変わらなくなってしまうな」
「その通りですよ。ですから」
「傷を受けないうちに倒すか」
「それでどうします?」
本郷はまた鱗をかわしながら役に対して問うた。
「このままじゃ何時かは」
「倒すしかないな」
ここで役が出した答えはこれであった。
「やはりな」
「あの邪神をですね」
「そうだ、倒す」
役は再び言葉を出した。
「あの邪神を一気にだ」
「そうですか。それしかないですね」
本郷もそれで納得したのだった。
「ここはやっぱり」
「それではいいな」
あらためて本郷に告げた。
「一気に行くとしよう」
「幸いまだ目くらましも効いてますしね」
本郷はまずはそれをよしとしたのだった。
「しかしそれでもですよ」
「鱗か」
「ええ、邪神の周りが一番凄いですよ」
見ればその通りだった。鱗達は邪神の周りにこそ最も舞っていた。彼を護る為であるのはもう言うまでもないことだった。
「そこに進むってなれば」
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