第三十七章
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第三十七章
「ですから」
「神を使って目くらましをしたのだな」
「そういうことです。さて、これはどうですかね」
本郷はまた不敵な笑みを浮かべて述べたのだった。
「そうおいそれとは俺達を見ることはできませんよ」
「これで邪神の動きはかなり阻害されることになったな」
「そしてです」
さらにであった。本郷はその左手に今度は赤紫の球を数個出したのであった。そしてそれもまた邪神に対して投げる。しかし投げた直後に邪神の無闇に振り回した腕の爪が彼を襲って来たのだった。
しかし彼はそれもかわした。すぐに下に動いてかわしてみせたのである。
「さっきよりかわすのはずっと楽でしたね」
「やはり見えてはいないようだな」
「ですね。おかげでかわすのも楽になりましたよ」
こう言うのである。
「それでさっき投げたのはですね」
「今度は何だ?」
「絵の具ですよ」
それだというのである。
「絵の具をね。使ったんですよ」
「今度の只の絵の具ではないな」
「わかりますか、もう」
「わからない筈がない」
役は今は碌に見えずあがく邪神を見据えながら本郷に答える。二人は今は邪神の間合いからは離れそこから様子も探っていた。
「それはな」
「まあ忍術で使う絵の具ですからね」
「だから余計にか」
「ああ。これは特別でしてね」
笑いながら話す本郷だった。
「あれですよ。血の気が集まっているところに着くんですよ」
「血に反応する絵の具ということだな」
「ええ、そういうことです」
そうだと述べる本郷だった。
「ですから。急所がわかりますよ」
「人間の場所と違っていてもか」
「それでもわかります」
断言だった。言葉には確かな笑みまで含まれていた。
「奴が生きている限り急所ってやつは存在しますからね」
「それこそ機械かそうでない限りはだな」
「ですから。あれを使ったんですよ」
「それでか」
「目くらましをして」
そのことも再び語るのだった。
「それでこれです」
「形成としてはこちらに有利になったと言っていいか」
「少なくとも随分楽にはなった筈ですよ」
ここでも確かな言葉を出す本郷だった。
「間違いなくね」
「そうだな。それではだ」
「やりますか?いえ、やれますか」
「やれるな、確実にな」
役も勝利を見だしていた。本郷の使った二つの球によってだ。
「さて、それではだ」
「決めますか」
本郷がこう役に言ったその時だった。視覚を阻まれ身体中の急所を赤く染められてしまった邪神は思いも寄らぬことをしてきたのだった。
不意にその鱗達が無数に浮かび上がってきた。そして。
その鱗達が海中を乱れ舞ってきたのだ。その中の何割かは二人にも向かって来た。
「!?鱗が」
「これで斬るつもりか」
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