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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
決勝戦 五学年〜中編〜
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イスティアは小さく苦笑した。
 しかし、すぐに顔を引き締める。
「包囲される事は、予想が出来たよ」

 敵の攻撃の前に、予想される攻撃パターンは二つ。
 正面から鋒矢の陣形による中央突破。
 そして、包囲による殲滅戦。
 戦いとしてのパターンは、その二つしかない。

 鋒矢の陣形による突撃であれば、おそらくは負けていただろうと思う。
 アレスを初めとする突進に対して、連携すらとれていない現状では対抗すべき策はない。
 だが、テイスティアは戦いの中で、それはないと思っていた。
 理由を聞かれれば、テイスティアにも何となくとしか答えられない。

 無理に理由をつけるとすれば、最初の戦いでアレス艦隊も予想外に損害を与えられたため、損害が大きくなる中央突破よりも包囲殲滅をするのではないかと思ったからだ。
 だが、あくまでそれはテイスティアの想像であって、どこにも確証はない。
 もしそんな事を言えば、ワイドボーン先輩であれば、激怒していただろうとテイスティアは思った。
 それでも。

 テイスティアは自分の直感を信じた。
 いや、正確には自分の直感を信じてくれたアレス・マクワイルドを信じたのだ。
 だから。
「僕が先頭になって、中央のアレス艦隊を突破する」
 呟いた言葉に、しばらくの沈黙があった。

『死ぬ気ですか』
「死ぬつもりはないけれど、そうかもしれないね。でも、それで突破が出来れば、相手の後背を狙う事ができる。まだ戦いは終わっていないよ」
『それで突破する場所がアレス・マクワイルド先輩ですか。端的に無謀とお答えします。もし中央突破をされるのでしたら、別の場所を狙うのが良いのではないかと思慮いたします』

「ううん。アレス先輩だからいいと思う」
 テイスティアはライナの言葉を否定した。
「アレス先輩の艦隊は二千を一学年生の援護に回している。実質的な数だと僕の艦隊の数の方が多い」
 そのためにわざと同期であるサミュールに対して、積極的な攻勢を行わず、防戦を主体にして艦数を維持していたのだ。
 さすがにそのことはフォークを前にして言えなかったが。

「連携はセランと相手の三学年はさすがだ。でも、アレス先輩の隣にいる一学年と二学年はそれに比べるとまだまだ甘い。でも、甘いからとそこを狙えば、アレス先輩とセラン達に援護されて、こちらが潰されると――そう思う」
 だからこそ、例え無謀と言われようが、アレス・マクワイルドに向けて中央突破を仕掛ける方が良いと、テイスティアは呟いた。

『可能だと思うのですか』
「少なくとも不可能ではないと思う」
『しかし……』
 呟かれた言葉は一瞬。

『いいえ。ならば、私は反対いたしません』
「ありがとう。フェアラートさん」
『貴様ら。こちらを無視して、
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