決勝戦 五学年〜中編〜
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
める事が出来る。
しかし、そこにできた隙間を他の艦はすぐに埋める事はできない。
それはライナ・フェアラートが危惧していた結果であり、まさにフレデリカが気づいた瞬間であった。
「全艦隊。主砲斉射三連――いけっ!」
アレスの号令とともに、それまで形ばかりは保っていたフォークとウィリアムの連携点が見事に破壊された。
気づき、急いで修正するも、攻撃が散発なものに変化する。
艦隊での攻撃は一斉に攻撃するからこそ、攻撃としての意味がある。
単発的な攻撃など、相手の防御フィールドにかき消されてしまう。
それでは相手の集中砲火を止める事などできない。
防御を考える事なく、撃ち込まれる砲撃に艦列は一気に乱れていった。
「下がるな、敵に隙を与えるな!」
フォークの号令が下るが、現実として隙は隙として生まれてしまっている。
艦隊がいきなり増えないように。
開いた隙間を急に埋めることなどできない。
それが可能であるのは、隙間を隙間としないようにしてきたテイスティアとライナだけである。
そんな二人も、周囲の援護がなくては射的の的となる。
一斉に始まったアレス艦隊の苛烈な攻撃の前に、艦数を急速に減らしながら、出来る事は中央に集まり、少しでも集中して防御することだけであった。
「何をしている。目の前の艦隊に集中しろ、下がるな、下がるな!」
悲鳴に似たフォークの号令は、もはや指示として機能していなかった。
下がらない為にどうすればよいのか。
どこを狙えばいいのか。
それは号令というよりも、むしろただの愚痴だ。
それでも命令を受けた艦隊が、目の前の艦隊に対して、攻撃を加える。
だが、すぐに横からの攻撃を受けて、モニター上から消失した。
フォークの艦隊とは対照的に、アレス艦隊は相互に連携をして、攻撃をしている。
敵の艦隊に対して、一つの艦隊が防御に集中すれば、他の艦隊が援護する。
それは当り前のことであったが、当たり前のこととしてこなすには、相当な時間が必要であっただろう。アレスを相手にして、連携訓練を繰り返してきたアレス艦隊だからこそ、出来たことであった。
次第に中央に集中する艦隊に向けて、アレス艦隊がゆっくりと手を広げていく。
左翼を三学年が――右翼をサミュールが、同じタイミングで少しずつ包囲を広げていく。
正面からではなく左右の攻撃の前に、フォーク艦隊はなすすべもなく崩されていった。
「気をつけろ、相手は包囲を狙っている」
『そんな事は知っています』
フォークの言葉に、どこまでも冷静なライナの言葉が、響いた。
+ + +
『で。どうなさるおつもりですか、テイスティア参謀長』
全艦隊に向けて一斉に送信された言葉に、筺体の中でテ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ