第三十三章
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第三十三章
「一体。何なんでしょうか」
「それは私にもまだわからない」
役もまだ答えかねるものであった。
「しかしだ。進んでいけばわかることだ」
「進んでいけばですね」
「そういうことだ。進めばな」
本郷の言葉も鋭いものだった。彼はその中であるものを見ようとしていることは内心察していた。それは言葉には決して出さないものであったが。
やがて目の前に光が見えてきた。それと共に赤いものがだ。
「見えてきましたね」
「遂にだな」
二人は呼吸を合わせたかのようにしてそれぞれ言った。
「さて、問題はこれからですけれど」
「あの中に入ってからだな」
「まずはどうします?」
二人はまだ歩いている。本郷はその中で役に問うたのである。
「あの海草は」
「切るか」
役がとりあえず出した結論はそれであった。
「それからだな。まずは」
「切りますか」
「放っておいてはどうなるかわからない」
役はこうも言った。
「だからだ。どう思う?」
「そうですね。それでいいと思います」
その考えには本郷も同意するのだった。
「やっぱり。あの海草は」
「普通の海草ではないな」
「確実に、ですね」
確信だった。そしてその確信は二人共通であった。
「じゃあやっぱり切った方がいいですね」
「切って終わればいいがな」
役のここでの言葉はその先を既に見据えたものであった。
「それでな」
「終わらないですかね、それじゃあ」
「そう思っておいた方がいい」
やはりこう考えているのだった。
「そうな」
「ですね。じゃあ」
「切って。それで」
役はさらに言う。
「それから何かするとしよう」
「ええ。それに出口にだけあるとは限りませんし」
本郷もまた考えていた。彼もまた先を考えているのだった。
「その先にも」
「あるかも知れないな」
「あの海草が尋常なものでなければ」
「そうだな。それではだ」
「それを確かめる為にも」
「行くか」
何につけてもまずはそれであった。
二人はさらに進みそうしてであった。遂に出口に辿り着いた。
出口に辿り着くとまずはその手にしている刀と剣でそれぞれ海草を斬る。すると海草はまずは何なく海底に落ちていくのであった。
「これで終わりですかね」
「そう思いたいがな」
役が本郷にこう応えたその時だった。
すぐにその海草達が動いてきた。切られてもなお動きそのうえで二人に襲い掛かってきたのだった。二人の危惧は残念ならば当たってしまった。
「くっ、やっぱりですね」
「予想していた通りだ。それならだ」
「俺はこれ使います」
言いながら出してきたのは数個の小さな球だった。
それを切られながらも漂いつつ自分達に向かって来る海草に投げ付ける。するとそれ
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