歌い手、約束する
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るので、このまま入っても問題ないだろう。
「じゃあ、入ろうか?」
「はい!」
まずはお風呂に入って疲れを取ることにしよう。
依頼とかの話は、またリリちゃんが寝てからにでも皆に聞けばいいし。
♪♪♪
「じゃあ、流すよ〜」
「は〜い!」
で、僕はリリちゃんの頭とか尻尾とかを洗っていた。
リリちゃんが背中を洗ってくれたので、そのお返しだ。
「じゃあ、湯船に入ろうか?」
「ですね。ありがとうございました」
「良いよ、気にしなくて。リリちゃんに背中も洗ってもらったし」
それに、本音を言えば一度この尻尾に触ってみたかったのだ。
ふわふわしていて、とても手触りがよかった。
「ふう・・・こっちにも、湯船があるお風呂があるんだねぇ」
「はい。依頼をする人がどの文化出身の人かは分からないので、大きなコミュニティではこのようなお風呂は準備されているそうです」
なるほどね〜。そういった気配りもできてこそ、一流のコミュニティ、ということか。
「ところで、いくつか質問をしても良いですか?」
「うん、どうぞ」
「じゃあ・・・奏さんは、今の“ノーネーム”の状況をどう思いますか?」
・・・?
「えっと・・・どういうこと?」
「スイマセン、分かりづらくて・・・その、何か不満はありませんか、と・・・」
不満。不満ねえ・・・
「奏さんだけじゃなく、十六夜様に飛鳥様、耀様は別の世界から来たお方ですし、そちらの世界に何か未練があるんじゃないかと・・・」
「大丈夫、それはないから」
まあ、これについては間違いない。
「そうなんですか?」
「うん。もといた世界じゃ、ギフトを持ってる人なんていなかったからね。そのせいで苦労することも多かったんだ」
見世物として利用する人はまだいい。向こうもこっちを利用して利益を得て、こっちも向こうを利用してお金を貰い、毎日の生活を可能にしていたんだ。
でも、僕のこのギフトを科学的に解明しようと、僕を解剖しようとする科学者、僕を神聖視して追いかけてくる怖すぎるファン・・・うん、思い出しただけでも向こうに居たくなくなる。
「うん、思い出したくもないことばっかりだったから、元の世界に未練はないよ」
「そうですか・・・じゃあ、コミュニティには?」
ふむ・・・
「それもないかな。音楽シリーズの知名度だと、他のコミュニティに入ってたらどんな扱いをされてたことか分かったもんじゃない・・・」
そう考えると、“ノーネーム”は僕からすればかなりの優良物件だったのだろう。
こんな言い方をしたくはないが、あれだけ切羽詰っている以上、コミュニティから離れていくような扱いはされない。
「じゃあ、ど
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