反董卓の章
第5話 「君は『劉玄徳』…………そうだろ?」
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最終判断は桃香様に任せる。そして……判断されたなら、それに従う。私はもう客将ではない。桃香様に仕える……梁州牧である、劉玄徳の臣下であるのだから。以上です」
そう言って、王座の間に設置された円卓へと着席する。
会議の時のみ設置される、この円卓。
最初は珍しいと思っていたが…………この円卓こそ、今では正しい議の形ではないか、そう思う。
なぜならこれは……人を対等に見る、という桃香様と主の信念の表れなのだ。
上下の立場も……臣下の立場すらも超えて、話をするという意志の表れ。
だからこそ、私の居場所は…………ここしかない。
今では心からそう思う。
それゆえに……意見ははっきりと伝えて。
その最終決定がされたら、それに従う。
私は…………この『円卓会議』と呼んだ主の言葉が、好きだった。
「……わかった。星ちゃんの意見は反対、だね。あとは愛紗ちゃんだけ、だけど……」
桃香様が疲れたように口にする。
桃香様……ご心労、お察し申し上げる。
だが……これは梁州の長、州牧として決定しなければいけない、桃香様の仕事。
我らはただ……意見を述べることしかできない。
「愛紗はなー……あの様子じゃ、やっぱり反対だと思うのだ」
「わかっているよ、鈴々ちゃん…………でも、ご主人様の言うとおり、本人からしっかりと意見を聞かなきゃダメだよ。そのために……」
「すまん、遅くなった」
桃香様が話されている中、王座の間の扉が開いて声がする。
誰であろう、我が主の声だ。
「あ、ご主人様…………愛紗、ちゃん」
「すみません、桃香様…………朝は御無礼致しました」
主の後に続いた愛紗が、入り口で頭を下げる。
その顔は…………ふむ、ようやく落ち着いたか。
「ううん、いいんだよ…………さあ、座って」
「はい…………星、朝はありがとう。そしてすまん」
「フッ……気にすることはない。愛紗の柔らかな肢体を押さえつけられたのは、役得だったからな」
「なっ!?」
私の冗談に、顔を赤くする愛紗。
おやおや……相変わらず、初なことだ。
「やれやれ……それぐらいにな、星。桃香、星の話は聞いたか?」
「うん……反対。理由は…………」
「ああ、わかる。星のことだ、証明する劉虞に信が置けない、この連合に義はない、そのあたりだろ?」
……むう。
そのとおりとはいえ、ここまで見透かされるのはどうなのだろうか。
いやまて、考えを変えれば、それだけ私のことをよくわかっておられるということに……
「……星の顔がにやけているのだ。あれはなにか、邪なことを考えている時の顔なのだ」
「翼徳殿、そういうことは大声で言うものではありませんぞ」
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