反董卓の章
第5話 「君は『劉玄徳』…………そうだろ?」
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だ。助けるんだよ、彼女を。そして霞を」
助けだす――俺のその言葉に。
愛紗は、天啓にその身を打たれたかのように身動ぎする。
そうだ……董仲穎、董卓を。
助けだすのだ。
―― 趙雲 side ――
「私は、連合に参加は反対ですな」
「…………やはりそうですよね」
王座の間。
午後から再開された議の席で。
私は、目の前にいる桃香様を始め、その横に座る朱里や雛里にそう言った。
今は、定例報告の整列状態とは違い、円卓に座を囲んで座っている。
これは『円卓会議』といって、主が取り入れたという新しい議の形。
皆が円卓に椅子を並べて、互いの顔を見ながら話し合う。
私は、この『円卓会議』が好きだった。
だが、その主は…………まだ、この場にはいない。
愛紗が、朝の議の場より退出を命ぜられ、未だ自室にいるようだ。
主は、愛紗と話をしにいったらしい。
確かに、愛紗のあの激昂ぶりからして、きちんと話ができる者は、桃香様か主のどちらかであろう。
それはよい。
だが、それとは別に、私の意見をしっかりと伝えねばならない。
「どう見ても、この連合には義がない。あれだけ汚職にあふれた宦官共。その告発文があったとて、それが真実である証拠はどこにもない。そしてそれを保証するのがあの劉虞だ」
「劉虞さんの件は、先程お伝えしたとおりですが……」
「あんなもの擬態に決まっておる。突然人が変わったように善政を敷くなど……人がそんなに簡単に日頃の行いを変えるなどありえん! あるとするならば、それが策略だからだ」
「それは…………確かに」
「で、あろう? 朱里もそう思うぐらいだ。その大義名分の信憑性をあげるための、一時的な欺瞞にすぎん。そんな相手の大義など…………私は認めない」
「………………」
私の言葉に、朱里は雛里と顔を見合わせている。
「……それは、梁州の現状を踏まえての意見ですか? 感情だけでなく」
「……そうだ。確かに三州同盟は大事だ。それが今後莫大な富を上げることも、その富が民へと還元されることもわかっている。だが、自分たちの信義まで曲げて民のためとする結果を……私達はすでに見ているではないか」
私の言葉に、はっとする人物がいる。
誰であろう、桃香様だった。
「私にはその……とある人物について、語る口を持たない。権利もない……だからあえて誰とは言わぬ。だが、自身の信義を曲げても、結局振り回されるだけなら……私は信義を貫きたい。己の信義を」
それが私の……趙雲子龍という、武人の答えだ。
すべてを受け止め…………私は答えを出した。
自分自身だけの、答えを。
「あくまで私の意見だ…………
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