反董卓の章
第5話 「君は『劉玄徳』…………そうだろ?」
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い……かわ……」
「あ、いや…………ゴホン。すまん、間違えた。いや、間違えてはいないけど、って、ああ、俺も何言ってんだ」
いかん、我ながら迂闊ことを口走ってしまった。
とりあえず誤魔化そう。
「え、えっとだな…………まず、最初に報告がある。劉虞の件だ」
「!? は、はい……」
顔を赤らめていた愛紗が、不意に真面目な顔になる。
「雛里の細作から、最新情報が届いた。白蓮と劉虞が仲直りしたらしい」
「………………は?」
きょとん、とした顔で俺を見る愛紗。
まあ、そうだろうな。
この知らせを桃香たちに言っても同じ顔をされたし。
「劉虞が全面的に非を認めて、今までの非礼を白蓮に詫びたそうだ。その上で、自身の領土である平原の復興を始めたそうだ。資金は皇族としての自分の財産全て。民からの徴収した財は一切使わず、全て民に返却したらしい」
「へん……きゃく? 確か劉虞は、訴えた民を惨殺したと――」
「ああ。だからその遺族に。遺族がいない場合はその邑や周囲の人間に。その上で、賠償としての復興は、洛陽の自宅を含めた財産全てを売り払ってつぎ込んでいるそうだ」
「……………………」
愛紗の顔が、呆然としている。
まあ、そうだよな…………
これだけ見れば、まるで桃香のようだ。
「本人は、民たちの前で土下座したらしい。やったことがやったことだから、当然民は許さないらしいが…………それでも頭を下げて、復興の指示をしている。民の中には露骨に石を投げたりもされたようだが……当然の事をしたとお咎めもないらしい」
「そ、それは…………」
「……まあ、信じられない気持ちもわかる。俺も報告では疑ったぐらいだ。だが、つい先ほど、白蓮から書状が届いた。白蓮直筆で……劉虞と和解したとのことだ」
「………………」
本当に信じられない、そういった顔だな。
俺も正直びっくりしたよ…………劉虞があいつら、于吉や左慈に操られていると、俺も思っていた。
だが、その劉虞は急に人が変わったように善政を敷きはじめた。
一体どういう意図なのか……
「白蓮自身が信じられないことだが、改心は本当らしいと。だからコチラは気にするな……そう書いてあった。桃香は安心して泣いていたよ」
「桃香、様…………」
疑念深い朱里や雛里、星あたりは……裏の事情を探っていたが。
その点については俺も同意だ。
多分、擬態だとは思うんだが……
「愛紗。劉虞の件は……ひとまず置いておかないか?」
「ご主人様…………」
「劉虞が本心から改心したか、それとも体裁を取り繕っているかは、俺にはまだわからない。だけど、今はそれよりも…………董仲穎殿を助けだす事を考えないか?」
「たすけ……だす?」
「……そう
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