反董卓の章
第5話 「君は『劉玄徳』…………そうだろ?」
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かもだけど、俺にも何言っているかわからん。
ただ、慌てた俺に愛紗が……
「よくわかりませんが……何かが溢れました」
とか言っていた。
そりゃ溢れているだろう、血が。
扉で額だけでなく、鼻も打っていたのかもしれないけど……
結局、俺のハンカチだけじゃとても足りなかったので、改めて布と水を用意してきて治療する。
といっても鼻血の処理と、血止めに小さな布を詰めてもらっただけだけど。
ティッシュみたいな便利なものが作れればなあ……
「ずびまぜんでしだ、ごしゅじんざま……」
「あ、いや…………」
鼻詰まりのひどい声。
いかん…………普段の愛紗が愛紗なだけに、この声はまずい。
思わずこみ上げる衝動に、腹筋を総動員して耐えぬいた。
「血は……止まったかな? まだのようなら、新しいのに変える?」
「ばい、ぢょっどお待ぢを………………ふう。大丈夫なようです」
鼻の詰め物をした顔を隠すように後ろを向いていた愛紗が、こちらを振り返る。
そりゃまあ…………鼻に詰め物なんて、女の子が見られたくはないわな。
わかっていたから、後ろ向いて床の鼻血の処理だけしてたけど。
「あ、水で洗うなら、鼻の中洗うなよ。止まった血がまた流れだすからな」
「あ、はい…………まだ血が付いています?」
再度振り向き、背後にある鏡で何度も顔を確認している愛紗。
……やっぱり女の子なんだなぁ。
「いや、大丈夫。まあ、あとで顔洗うだろうからというだけの話だよ」
「あ、はい。そうします……えと、ご主人様、すいませんでした」
ぺこっと頭を下げる愛紗。
てっきり額と鼻血の件かと思い、苦笑する。
「いやあ、扉を不注意に開けたのは俺だし……むしろ俺が謝るよ。ごめん」
「え? あ!? ち、違います! 扉の件でなく! というか、あれは私の不注意ですし!」
「は?じゃあ、なに?」
他になんかやったっけ……?
「あ、あの…………朝の定例報告での、私の失態を……」
……………………おお!
「あ〜……そういやそうだった。すっかり忘れていたわ」
「わ、忘れ!?」
「あ、いや…………そうだな、そのことで話に来たんだった、俺。はははは、すっかり忘れていたわ!」
思わず額に頭を当てて、笑ってしまう。
そういや、愛紗の部屋につくまでは、どうやって慰めよう、諌めようとか考えていたんだった。
もう完全に忘れてたわ。
「いやあ……もう、何か言う気が失せちゃったよ。愛紗は可愛いなぁ」
「は!? か、かわ!?」
「あ………………」
いかん、何言ってんだ、俺は。
完全に和んじゃって、つい本音がポロッと……
「か、かわ、かわ
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