反董卓の章
第5話 「君は『劉玄徳』…………そうだろ?」
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いからいないのかと思ったよ。入ってもいいか?」
「え? あ、えと…………」
ど、どうしよう…………
なんというか、私の部屋などに来ていただいたのは嬉しいけど……先ほどの非礼もあって、合わせる顔がないというか……
「愛紗?」
「あ、えと、その………………ど、どうぞ」
そういってまた気づく。
(あ! ど、どうぞじゃないだろう、私! 主人なのだから、扉を開けて迎え入れるのが礼儀ではないか!)
慌てて寝台から跳ね起きて、扉へと手を伸ばす。
だが――
ガチャ――――ゴチンッ!
「はぐっ! あおおおおおお……」
「わっ!? 愛紗!? だ、大丈夫か!?」
開いた扉の角が、ちょうど私の額に当たり、私は思わず仰け反り、痛みに蹲る。
その衝撃と音に驚いたご主人様は、ギョッとした顔で顔を覗かせた。
「す、すまない、愛紗! どうぞって言うから扉を開けて――」
「い、いえ…………わ、私こそ本来なら自ら招き入れねばならないのに」
ズキズキと痛む額を押さえつつ、謝る。
若干、涙が出ているような気もするが。
「あー…………えと、ともかく治療しようか。少し血が出てる」
「え?」
ふと、額を押さえていた手を離すと、手に血が付いていた。
と、扉の角で出血とは………………関雲長、一生の不覚っ!
「いや……すごい勢いだったけど、そこまで悔やむことはないだろ」
「はっ!? ご主人様、心が読めるのですか?」
「いや、口に出ているし」
あぅ…………
「まあ、深くはないから水で洗って布を巻いておけば大丈夫だろ。水と布を取ってくるよ」
「あ、だ、大丈夫です! 水はお茶用にそこにありますし、布も……」
「ん? ああ……じゃあ使わせてもらうか。そこに座って」
「え?」
あ、あの……何故、椅子を向かい合わせて置くのですか?
「ん? 早く座って。血を拭いて治療するから」
「そ、そそそそそそそそんな、滅相も!? じ、自分でやれます!」
「いいから、座る。ほら、はやく」
「あぅ…………」
少し躊躇してから、再度薦められる言葉に、しぶしぶとご主人様の前に座った。
目の前の椅子にご主人様も座り、自身の懐からきれいな白い布をそばにある水差しで湿らせる。
そしてその布で私の額を……
「ご、ご主人様!? ご主人様の布巾が汚れ……」
「気にしないの。こんなのただの布切れなんだから。それより動かないでくれよ、血が垂れるぞ」
「あ、あうう…………」
ご主人様の左の手のひらが、私の頬に添えられる。
はう!?
あ、暖かく、大きな手が…………私の頬に。
「じっとして…………うん、そんなにひどい傷じゃないな。きれいにしておけば痕も残ら
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