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魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
43話:新たな力 ファイナルコンプリート
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、エイミィの連絡を受けたクロノは、慌てて振り向きながら先程まで戦闘を行っていた場所を見る。それに釣られた数人も、クロノと同じようにその場所を見る。
するとそこには、紫色の光を発しながら宙に浮かぶ、“闇の書の闇”の残骸があった。
「なっ!?」
「闇の書≠フ残骸!?」
それらが全て宙に浮くと、こちらに向かって飛んできた。慌てて空中にいるメンバー全員が避け、残骸の行き先を見つめる。
そこにいたのは、先程から禍々しい闇を放つ、プロトWだった。
プロトWの付近に到達した残骸は、数回彼の周りを周回すると、紫色の粒子となって、プロトWの体へと入り込んでいく。
「うおおおおおぉぉぉォォォォォオオオオオオオ!!」
全ての粒子が彼の体に入り込んだ瞬間、彼の体に異変が起こった。
両腕、両足は肥大化していき、それに合わせてか、体自体も大きくなっていく。体に走っていた多色のラインはどす黒く濁り、体の装飾もいっそう禍々しくなる。しまいには、腕がさらに二本生え、背中に六枚の黒い羽が現れる。
「GAAAAAaaaaaaaaaaa!!!」
その姿は既に怪人を通り越し―――まさに、怪物。
「全テヲ滅ボス…コノ世界ノ全テヲ……滅ボス!!」
「くっ…!」
体から発せられるエネルギーは、まさに狂気。その圧迫感に、士は腕をガードするように前に構えるしかなかった。
「ダークスピリッツ!!」
「ぐあああぁぁぁぁぁっ!?」
プロトWは六枚の羽の先を前へ運び、エネルギーを固め、黒い球体として四本となった手に与え、それを士に向けて投げ放つ。
それらが地面に当たってできた爆発や衝撃に呑まれ、士は吹き飛ばされた。
「ぐっ、あぁ……うぅ…ぐぅ…」
「士君!」
「士!」
「ディケイドさん!…って士君!?」
爆発から転がり出た士は、そのダメージで変身が解けてしまう。それを見て、ようやく士がディケイドだという確固たる証拠を得たはやてとヴォルケンズは、目を丸くして驚いた。
「ぐっ、ぅぅ……く、そぉ…!」
「滅ボスノダ…不完全ナ世界ヲ…愚カナ人間達ヲ……新タナ世界ヲ創リ出スノダ!!完全ナル…完璧ナル世界ヲォォォォォ!!」
体中の闇をまき散らしながら、雄叫びを上げるプロトW。その声と気迫に、その場にいる全員が圧迫される。
(これ程の気迫…今まで味わった事があるだろうか…!?)
(これが士が戦う怪人の力…正しく脅威的だ…)
(恐い…こんな力、見た事ない…)
シグナム、クロノ、シャマルだけでなく、皆がそれぞれ心の内でプロトWの脅威に驚く中、ただ三人だけ…他の全員とは違う事を考えている者がいた。
(士君……信じてる…)
(士は諦めない。どんなに力が強くたって…)
(士、君……!)
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