第三十一章
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にされていく。中には同じ鮫同士で喰らい合ってもいた。
そうした光景を見ながら。本郷はまた言うのだった。
「あの連中の方が厄介かも知れませんね」
「相手をするならな」
「でかいですしね」
その大きさは尋常なものではなかった。中には十メートル近いものも見た。見ればそれはあの有名なホオジロザメ、英語名でマンイーターシャークであった。
「まあ早いうちにあそこから離れて正解でしたね」
「残っていれば我々もあの中にいた」
「そういうことですね。ぎりぎり離れられたってことですね」
「そういうことだ。それではだ」
「ええ」
役の言葉に頷きそのうえでさらに進む。そうして教会の中から見たあの洞窟の入り口に辿り着いたのであった。
その前に来ると本郷はまず。剣呑な面持ちになった。そしてその面持ちで語るのだった。
「何かね」
「君も感じるんだな」
「感じない方がおかしいですよ」
こう役に言葉を返した。その表情のままで。
「あの時は気配までは感じなかったんですけれどね」
「そうだな。映像は所詮は映像だ」
「そういうことですね。けれど今は」
「いるな、奥に」
役もまた同じ顔になっていた。
「これは間違いなくな」
「ですね。いますね」
本郷は役の今の言葉に強く頷き返した。
「これは」
「行くしかないが」
「行けば地獄ですか」
「地獄を見るか?」
これまでで最も真剣な顔で本郷に問うたのであった。
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