炎の翼
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ジョゼの左手から魔力が発射され、エルザはそれを避ける。
空を斬る音と共にエルザが剣を振り、ジョゼはそれを避け、エルザの足を掴んだ。
「っ!」
壁が砕けるほどの威力でエルザを叩きつける。
しかしエルザは砕けた壁の欠片を蹴り、着地した。
「貴様・・・確かジュピターを真面にくらったはず。なぜ立っていられる!?」
ジョゼの問いに、エルザは息を切らしながら剣を構えた。
「仲間が私の心を強くする。愛する者達の為なら、この体などいらぬわ」
その答えに、ジョゼは不気味に微笑んだ。
「強くて気丈で美しい・・・なんて壊しがいのある娘でしょう・・・」
一方、エルザと別れたティアは、だだっ広い部屋にいた。
ただ広いだけ、特別何かが置いてある訳ではないこの部屋に、ティアは1人佇む。
「っ来る!」
短く言い放ち、跳躍する。
その先ほどまでティアが立っていた床に、真っ赤な蛇の模様が走った。
軽い身のこなしでその蛇模様から距離を取る。
「そこにいるのは解っている・・・出てきなさいっ!」
ティアが吼えると、しゅるっと煙のように姫カットの少女・・・シュランが現れる。
両者の目には、闘志だけが輝いていた。
「解っていたなら、もっと早く言えばよかったのでは?」
「アンタに私と戦う気があるか見ていたのよ・・・どうやら、かなり私を倒したいようね」
「・・・別に、貴女でなくても構いません。私はただ・・・」
そこで一旦区切り、シュランは綺麗に切りそろえた前髪から闘志だけの瞳を覗かせる。
「ガジル様の敵となるであろう妖精を、ガジル様が相手する前に狩っておきたいだけですわ。あの方には・・・火竜しか似合わない。そう、火竜を堕とすのが、あの方には似合うのです」
どこか優しげな笑みを浮かべ、そう言い放つシュラン。
それに対し、ティアは挑発的で妖艶な笑みを浮かべた。
「あら、そう・・・アンタ、あんな厳つい男のドコがいいの?」
「・・・それはガジル様に対する侮辱、と受け取ってよろしいのでしょうか?」
「さぁ?どう受け取ろうとアンタの自由よ」
肩を竦めるティア。
シュランの髪が揺らめき、赤い光を2つ灯した。
それをティアが見逃す訳が無く、「それ」が何か解っているかのように溜息をつく。
「あの方を侮辱するのであれば、私は貴女を葬らなければなりませんね」
「男1人にそんな事するかしら、普通」
「私にとってあの方は全てですもの。私を助けてくれたあの日から・・・私の全てはガジル様の為にあります」
「・・・考えられない」
自分は自分、他人は他人、の考えのティアにとって、シュランのガジルに対する『感情』は理解不能、未知の世界だ
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