第二十九章
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第二十九章
「それも満足すべき結果にだ」
「あとはさらに満足する結果を生み出す為に」
「行くぞ」
本郷に対して告げた言葉は一言であった。
「海の中にな」
「ええ。結界はもういけますね」
「大丈夫だ。それはもうな」
いいというのであった。
「だからこそだ」
「行きますか」
こうして二人は海面に急降下していく。海面に着くと同時にその翼は外れた。そうしてそのうえで本郷の分身達共々海の中に入ったのであった。
海中に入ると。予想通りの外見の異形の者達がいた。
鱗に水かきのある手足、そして異形の顔、全てが不気味な青のその者達が海の中にいた。彼等は二人と分身達をそのまま取り囲んでいた。
「やはりな」
「連中でしたね」
「その通りだ。深き者共」
役は本郷の本体に応える形で言った。
「その者達だったな」
「ってことはですね」
「あの海底の洞窟にいるのはだ」
「奴ですか」
言葉を出す本郷の言葉は遠くを見据えたものであった。
「奴ですね」
「間違いないな。奴しかない」
役もまた応えて言う。
「奴しか。この者達を動かすことはできはしないからな」
「滅んだって思ったら蘇るなんて」
「神は滅びようとも蘇ることができる」
役はここでもこの言葉を出したのだった。
「そういうものだからな」
「何度でもってわけですか」
「それなら対処は簡単なことだ」
うんざりとした調子で述べた本郷に素っ気無く返す役だった。そうしてそのうえでこう述べるのだった。
「その都度倒せばいいのだからな」
「それだけだっていうのですね」
「他に何がある?」
こうも問い返してみせたのだった。
「その都度倒す以外に。ないな」
「まあそうですけれどね」
そして本郷の結局のところ彼と同じ考えだった。だからこそ頷くのだった。
「それじゃあ」
「まずはこの連中を倒してだ」
「そのうえで、ですね」
「あの洞窟の中に向かう」
既に行動は全て決めているのだった。
「それでいいな」
「ええ。果たしてあの洞窟の向こうに何があるか」
「それはここで生き残ってからわかることだ」
「そういうことでね。見たところ」
周りを見回す。上下左右前後至る場所にその深き者達がいる。魚のものそのものの不気味な、感情のない目で二人を凝視してきていた。
「随分数も減って残っている奴等も傷付いていますけれど」
「それでも逃げるつもりはないようだな」
「恐怖って感情はないみたいですね」
本郷はそれを見てこう述べるのだった。
「どうやら」
「人ではない、いや」
「いや?」
「本来ならこの世界にいてはならない存在だ」
その彼等を見回しての言葉である。顔の半分以上はあろうかというその大きく開いた口には三列の歯が連なっている
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