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久遠の神話
第五十六話 中華街その二

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「後飲茶で蒸し餃子は」
「どれにされますか」
「海老にフカヒレ、そして」
 加藤は飲茶のコーナーを見続けながら言う。
「蟹焼売も欲しいな八宝菜も海鮮でいきたい」
「わかりました。それでは」
「デザートは後で頼む。それではな」
「私はです」 
 スペンサーもまた彼の前にあったメニューを開いてウェイトレスに話す。
「チャーシュー麺に饅頭を」
「豚のですね」
「はい、それを」 
 そしてだった。
「水餃子に北京ダック、それと豚バラ煮込みを」
 トンポウロウ、それも頼んだ。
「チンジャオロースも」
「デザートは」
「後でお願いします」
 一通り食べてからだというのだ。
「それで」
「畏まりました、それでは」
 二人はそれぞれの注文をしてそのうえで出来上がった料理を食べていく、加藤はスペンサーの肉、とりわけ豚が多い彼の注文した料理を見てこう言った。
「この店は広東料理だからな」
「海の幸ですか」
「それがいいと思うがな」
 自分の頼んだものも見ての話だ。
「違うか」
「そうですね。広東料理といえば」
「海だな」
「広東は前に豊かな海がありますので」
「それでだと思うがな」
「はい、しかしです」
 スペンサーは箸を手に取りながら加藤に話す。
「私は広東料理ィでも豚を使ったものが好きでして」
「家鴨もか」
「そうです」
 北京ダックのことも話される。
「本来は名前の通り北京料理ですが」
「それでもか」
「中華料理の豚や鳥を使ったものは好きです」
「そういうことだな」
「むしろ貴方の方がかなり」
「確かにな。俺はな」
「随分と海産物がお好きなのですね」
「中華に限らない」
 こう前置きして言う加藤だった。
「和食でもイタリアでもどの国の料理でもだ」
「海の幸ですか」
「それが好きだし一番美味いと思っている」
 加藤は彼の料理についての考えをスペンサーに話す。
「最もよいご馳走だともな」
「成程、海の幸ですか」
「日本人だからかも知れないが海の幸は好きだ」
 実際にその海鮮麺を食べながらの話だ、海鮮麺のスープはとろみのあるもので塩味だ、底に海老や帆立に烏賊があり野菜もふんだんに入っている。
 それを食べながら言うのである。
「身体にもいいしな」
「そういうことですか。私もシーフードは嫌いではないですが」
「それでもか」
「はい、今は肉です」
 豚や家鴨だというのだ。
「そうした意味で中華は北京料理も好きです」
「北京料理か」
「貴方は北京料理はお嫌いでしょうか」
 スペンサーもチャーシュー麺を食べている。右手で箸を上手に使いそのうえで食べている。
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