第二十六章
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第二十六章
「君も」
「ええ、ここに」
言いながら早速右手に日本刀を出してみせるのであった。
「ありますよ」
「よし、それならだ」
「海の水に濡れずに浮かべる札は」
「これだ」
すぐに青い札を二枚出しそのうちの一枚を彼に差し出した。
「これを貼ればいい」
「そうですか。じゃあ服の裏にも」
「貼っておくのだ。私もだ」
己の背広の裏にすぐに貼る彼であった。
「これでいい」
「後は俺の結界ですね」
今度は本郷が言ってきた。
「それで完璧ですね」
「二重でな」
「用心には用心ってわけですか」
そしてこうも言うのであった。
「そのうえで敵地に、ですね」
「奴等は明らかに待っている」
既にそれを読んでいる本郷だった。
「今まで仕掛けて来なかったのだからな」
「そうですね。間違いないですね」
「さて、どんな布陣なのかだがな」
「絶対に海の中にいますよ」
本郷は何か見えないものを見るような目であった。
「奴等のことを考えればね」
「そうだろうな。そして中に入ればか」
「待ち構えて一気にですね」
「そうだろうな。ではそれに備えてだ」
「まずは敵の機先を制しましょう」
本郷はここでは戦いのやり方を考えていた。戦術というレベルでだ。
「それで敵の勢いを殺してそれからですね」
「反撃に転じるか」
「そうすれば楽ですよ。敵の数は」
「村人だけだと四百程度だな」
まずはこの村にいる者達の数を頭の中に入れての言葉であった。
「そしてだ。海の中にいるとしてもだ」
「そっちがどの位か、ですね」
「合わせて千もいないか」
本郷はここでも少し考えそのうえで数を出してみたのだった。
「千もな」
「まあ多くてそんなところでしょうね」
本郷もまた数について考えてみた。その結果はどちらもこうした数であった。
「多分ですけれど」
「千だとすればだ」
本郷はその数字を出したうえでさらに言うのであった。
「二人で千を相手にするとなればできるだけ一度で数を減らしていくか」
「一度でですか」
「君には分身があり」
本郷に顔を向けてそのうえでの言葉だった。
「他にも術はあるな」
「忍術でいいですかね」
本郷がここで出した術はそれであった。
「忍術だったら一気に減らせますけれど」
「そうだな。ではそれで頼む」
役も彼のその言葉を聞いたうえで頷いてみせた。
「千もいるとなると少しでも早いうちに敵の数を減らしておかなければな」
「こっちがやられますからね」
「そういうことだ。さて」
ここまで話したうえで役は目を海の方にやった。そうしてまた話すのであった。
「話はこれまでにしてだ」
「行きますか」
「行くとしよう。連中を倒してからが本番だ」
「でしょう
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