第五十話 誠心誠意嘘を吐く
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軍三個艦隊がイゼルローン要塞に向けて出兵したと連絡が有った。今度こそ負けるわけにはいかない、同盟軍は万全の態勢で待ち受けている。
確かに帝国軍が出兵してくるとは思わなかった。最低でも年内は国内の安定に努めると思ったのだが……。どうやら帝国はこちらの予想以上に国内が安定しているようだ。或いは司令長官達が話しているように三個艦隊なら国内状況に関係なく出兵出来るという事か……。
帝国宰相兼帝国軍最高司令官エーリッヒ・ヴァレンシュタイン、戦争だけでなく内政も出来るらしい。彼は帝国内で改革を行っているが極めて開明的なものだと同盟にも伝わってきている。帝国は彼の下に軍だけでなく民衆も纏まりつつある……。
今回帝国軍を率いているのはヴァレンシュタイン総司令官では無いらしい。あくまで今回は小手調べ、そんなところだろうか。或いはこちらへの威圧が目的かもしれない。自分が前線に出なくても帝国軍はそれなりの戦果を上げる事が出来る……。いや自分が出ないと帝国軍は勝てない、そう将兵に思わせて自分への信頼を厚くさせる……、どちらも有り得る事だ。
「哨戒部隊から連絡が入りました! 帝国軍と接触、兵力、約五万! 約八時間後には要塞からも目視出来ます!」
上ずった様な声でオペレーターが報告すると皆が顔を見合わせた。五万隻、フェザーンからの通報通り帝国軍は三個艦隊を動かして来たらしい。司令室の空気が変わった、皆が緊張している。
「如何しますか?」
ウランフ提督が問い掛けると司令長官は少しの間考えるそぶりを見せた。
「ウランフ提督は要塞に残って欲しい、他の部隊は出撃する。要塞主砲(トール・ハンマー)の射程内で帝国軍を待ち受けよう」
司令長官の言葉に異論は出なかった。帝国軍を要塞主砲(トール・ハンマー)の射程内に引き摺り込んで一撃を与える。先ずはオーソドックスに対応する様だ。
宇宙暦798年 1月 15日 同盟軍総旗艦 リオ・グランデ ヤン・ウェンリー
八時間後、要塞付近で待ち受ける同盟軍の目の前に帝国軍の艦隊が現れた。確かに大きな艦の集まりが三つ有る、三個艦隊か……。兵力ならこちらは四個艦隊、約六万隻に近い。イゼルローン要塞防衛の利点も入れれば戦力差はさらに開くだろう。帝国軍は一体どう出て来るか……。
「帝国軍から通信が入っています」
帝国軍から? オペレーターからの報告にビュコック司令長官とオスマン総参謀長が顔を見合わせた。直ぐに司令長官が“繋いでくれ”と指示を出した。スクリーンに帝国軍人が映った。金の肩章と緑色のマントを身に付けている。帝国元帥だ。
『帝国元帥、アルベルト・クレメンツです』
「同盟軍宇宙艦隊司令長官、アレクサンドル・ビュコック元帥です」
司令長官が名乗るとクレメンツ元帥が頷いた。アルベルト・
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