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魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜賢者の槍を持ちし者〜
Chapter33「分かり合いたい」
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夢を見る。
それはほんのつい最近ながら、もはや遠くに思えてしまう昔の夢。
『エルとルドガーは、一緒にカナンの地にいきます』
屈託のない碧色の瞳で少女が自分を見つめ、青年と少女は約束を交わす。
一緒にカナンの地に行くことを。
『お願い!エルを!』
ルドガーの掴む手を払い、少女を守りたい一心で自ら奈落の底へと吸いこまれっていった“最初に”出会った彼女。
『エルを……頼む。カナンの地を……開け……オリジンの……審判を……超え……』
世界も自分さえ偽りの存在だという真実に絶望し、クルスニク一族の運命から逃れようと足掻き続けたもう1人の自分自身を手にかけ、彼の娘である少女の心を傷つけた。
全ては少女を守るためだった……どうしようもなかった。
『お前は、お前の世界を作るんだ』
最後の試練を乗り越えるため、自分の前から姿を消した少女との約束を守るために兄が生んだ世界で兄の命を橋に使い、道を切り開いた。
『エルも約束する!もうウソつかないし、トマトだって食べる!』
審判を越えるために、そして何より大切な存在を守るため消滅する事を選んだ自分に、真っ赤に染まった瞳にきらきら光る大粒の雫を浮かべながら、少女は必死に自分を見上げていた。
『ルドガーが助けてくれたこと……スープの味も、ぜったい忘れないっ!』
少女は泣くのをこらえ、これからの道を歩む決意をその小さな姿で告げる。
『本当……本当だから!』
嗚咽混じりの声で自分を見上げてくる少女の赤と碧の瞳を見つめて、仮面を解き小さく微笑む。
時期に自分の存在は全てが失われる……その前に直接彼女の姿を目に焼き付けたかった。
そして……
『約束』
“本当の約束は目を見てするもの”
少女と自分が“アイボー”になった際、少女は自分にそう言った。
つまりこれは少女と自分との最後の本当の約束だ。
不思議と消滅寸前にもかかわらず、兄から教わった証を口ずさんでいた。
そして……強い光と共に自分は消滅した。
消える直前に少女の笑顔が見えた。
その笑顔でもう、心は十分未来への輝きに満たされた。
『ルドガー…ルドガー!』
声が聞こえる。
自分を必死に呼ぶ声を聞き、ルドガーはゆっくりと目を開ける。
それは夢の終わりと今生きる世界に戻る事を意味していた。
そしてルドガーの目の前には自分と同じ碧色の瞳を持つ少女、エルの姿が……
「はやて……?」
「ルドガー!!」
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