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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
決勝戦 五学年〜前編〜
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的。
 艦隊戦でいきなり艦列が崩壊することは少ない。
 同じ攻撃、同じ距離で撃ちあえば、差が出ないのは当然のことだ。そこで少しでも敵を崩し、崩れた部分を広げることが重要となる。
 そんな最初の攻撃を、少なくともテイスティア以外は理解していないだろう。

 他の艦隊は何の対策を取ることもなく、相手に対して攻撃を加えている。
 だが、敵の攻撃は的確にこちらの連携線を狙っている。
 一つの艦隊といえど、艦隊は艦同士が集まる集団である。
 一つ一つの戦艦や巡航艦が集まり、一つの艦隊として動いているのだ。

 そのため、ある艦が潰れた場合は別の艦で補完を行い、艦隊として機能させている。
 だが、補完する艦が潰されればどうなるか。
 さらに別の艦が補完をする事になるが、本来は行う予定ではない任務だ。
 そこにタイムラグが生じる。

 敵の艦隊は、その僅かなタイムラグを利用して、こちらに攻撃を加えてくる。
 そこに相手の意志は関係がない。
 三から一を引けば、二になる。
 どんな名将であっても、三引く一を三にはできない。

 それは例え理解できていたとしても、ライナにすらできない。
 なぜなら、その点を理解しようとしても、理解できた頃には戦場は推移している。
 それができるのは瞬時に弱点を見極め攻撃するアレス・マクワイルドの才能があってこそのこと。
 その能力が故に、おそらくは一対一で、真正面から向かい合えば誰も勝てない。

 無様ですね。
 敵の攻撃の意図に気づかない他のものではなく、それに気づいていながら何も出来ない自分こそが。
 そう小さく呟きながら、ライナも出来るだけ連携を切らさずに行動を加える。
 もはや左右の艦隊から援護が期待できない現状であれば、それは時間稼ぎにしかならないかもしれない。

 それでも負けると言うのは面白くありません。
 相手がこちらの弱点を狙うと言うのであれば、こちらもそれに対抗すればいい。
 あれから全く成長していないと、そう思われるのはライナ・フェアラートのプライドが許さない。

「主砲斉射三連――撃ちなさい!」


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