決勝戦 五学年〜前編〜
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「少しでも消耗させるべきと」
『うん。そうすれば……何とかなるような気がする。駄目かな?』
「端的に申し上げて。理由になっておりません。ですが……今は先輩を信じて見たいと思います」
礼の言葉を聞けば、ライナは再び戦場に意識を集中させる。
アレスがこの状態からどう動くのか。
それに対して、テイスティアがどんな行動をとるのか。
さすがのライナにも想像が付かない。
「でも、だからこそ楽しくなってきたと、そう思案いたします」
静かにライナは微笑んだ。
+ + +
敵の攻撃を捌きながら、アレスは呻いた。
セラン・サミュールに対して通信を送れば、すぐに返事がある。
『何でしょう。アレス先輩』
「ふと思ったんだが……」
『ようやくですか。このまま戦いが終わるまで何も思いつかないのではと心配してました。それで、この事態を打開する案なのですか?』
「打開というか――あいつらは馬鹿なのか」
『あいては学年主席ですよ?』
「だよな」
『ですが。ダゴンでも敵のあほうに助けられたと、リン・パオ元帥は言っておりましたけどね』
「いや……そうは言うが、この阿呆どもは一応は、味方なわけなんだが」
『絶望だ! アレス先輩、私は初めて絶望を体験しました!』
「初体験だな。おめでとう」
言葉を返しながら、アレスも頭を押さえていた。
頭痛だ。
学年主席が五人集まって、考えるような作戦ではない。
いや、正確に考えたのはフォークであろうが――それに対して誰も止めなかったのか。
いまだ起こらぬアムリッツァを想像して、アレスは息を吐いた。
総司令官の命令だから止められなかった。
そんなのは言いわけにならない。
止めるように説得をしなかった周囲も、十分悪い。
少なくとも――。
そう考えて、アレスはため息を吐いた。
「フォークならば、総司令官をおだてつつ、自分の意に沿う形に作戦を変えただろうな」
説得すら諦めて、意に沿うような行動をとれば、結局は周囲の――。
「テイスティア。これは半分はお前の責任でもあるぞ?」
後輩に対しては厳しい言葉であるかもしれない。
だが、今は戦術シミュレーターで負けるしかないが、次は何百万の命が失われる。
『テイスティアがどうかしましたか?』
「いや。阿呆とわかれば、待つ必要はない」
呟いて、アレスは全艦隊にメッセージを送信した。
「サミュールは、ポイント23に。グリーンヒルは、33を……」
+ + +
「動きましたね」
静かに呟いたライナの言葉通り、相手の攻撃が変化した。
砲撃が代わる。
それは、それまでのような散発的なものとは違い、意思を持った攻撃だ。
こちらを崩すという目
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