第四十四話 学園の魔女その十六
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「幾らでも食えるわ」
「そうじゃな」
「あれっ、けれどお豆腐は大豆から作られるから」
「そうよね」
愛実は聖花のその言葉に応えた、二人はここで気付いたのだ。
「節分の豆って大豆だけれど」
「鬼さん達大丈夫なのかしら」
「うむ、豆腐だと問題ない」
「というか大豆も食べるぞ」
実際はそうだというのだ。
「節分の豆は神様の力が入っているからな」
「だからあれには弱いのだろうな」
「まあ桃や鰯の頭にはそれだけで弱い」
「今も食べぬ」
「まあ桃には退魔の力があってね」
茉莉也は鬼の酒をごくごくと飲みながら話す。
「悪い妖怪や幽霊にはかなり辛いものがあるわね」
「我等は悪行はしないがな」
「しかし鬼自体に桃が危険なのだ」
「生理的なものもあるしな」
「あんた達がゴキブリを忌み嫌うのと同じかもな」
「いや、ゴキブリは人類の敵だから」
「あんなの好きな人いないわよ」
ゴキブリと聞いてだった、二人は即座にこう答えた。
「あんなおぞましい生き物他にそうはいないでしょ」
「あれは最悪でしょ」
「ふむ、本当に嫌いなのじゃな」
「これ以上はないまでに」
「大嫌いに決まってるじゃない」
「巨人と同じだけ嫌いよ」
読売ジャイアンツのことだ、巨人とは何かというと戦後日本の救いようのない病理の象徴だ、マスコミの害毒日本人のモラルの低下が見事に出ているものだ。
それでだ、二人は巨人も嫌いなのだ。
「というかゴキブリは絶滅してもいいでしょ」
「お店に一匹でも出たら終わりだから」
二人共店の娘だから余計に嫌うのだがこの見方が主観であるとは気付いていない。
「あれはもうね」
「嫌いとかいうレベルじゃないから」
「まあわし等もゴキブリは嫌いじゃよ」
「不潔なのはよくない」
鬼達もこれで清潔なのだ、風呂も好きなのだ。尚ゴキブリ自体はその身体に殺菌能力があり清潔な存在だったりする。
「それと同じじゃよ、鰯の頭も」
「好きではない」
「そういうことなのね」
「鬼さん達にとってはなのね」
「だから鰯は頭を落としてもらってから食う」
「味自体は好きだ」
こちらも食べることは食べるというのだ。
「そして生肝だがな」
「わし等は人間のものは食さぬからな」
よい鬼は、というのだ。
「牛のものをよく食う」
「牛の生レバじゃな」
「ああ、あれね」
「もう焼肉屋さんでは売ってないけれど」
食中毒の原因だからだ、身体によく味もいいのだが。
「確かにあれは美味しいわね」
「そうよね」
「言うなら生のホルモンじゃな」
「食えるであろう」
「ええ、新鮮なものでないと危ないけれど」
「動物の内蔵は身体にもいいから」
「そうですよね、私もホルモンは好きですよ」
七生子も笑顔で話に入って来た
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