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ヘタリア大帝国
TURN99 シベリア侵攻その四

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 今は待つのだった、反撃を加えるにも枢軸軍の先陣はその反撃の前に攻撃射程から離脱してしまう、それを三回程繰り返す。
 ソビエト軍の損害は出るがそれでも動かないジューコフだった。ソビエト軍の将兵達はその彼に焦る声で問うた。
「あの司令、ここは」
「もう攻撃しなくては」
「損害ばかり増えますが」
「いいのですか?」
「損害は微々たるものだ」
 こう言ってやはり軍を動かさないジューコフだった。
「気にするものではない」
「しかしもう三度も攻撃を受けています」
「しかも正面からです」
「このまま攻撃を受けていますと」
「軍の士気にも関わりますが」
「構うことはない」
 ジューコフは腕を組んだまま冷静に述べる。
「まだな」
「まだ、ですか」
「まだなのですか」
「そうだ、まだだ」
 こう言うのだった。
「敵は彼等だけではない」
「敵の本軍ですか」
「彼等が来た時にですか」
「その時に動けばいいそれにだ」
「それに?」
「それにといいますと」
「今下手に動くと危険だ」
 ジューコフはこのことも危惧していたのだ、その危惧の根拠とは。
「潜水艦だ」
「まだソナーには反応がありません」
「今のところは」
「だが油断してはならない」
 潜水艦、彼等にはというのだ。
「潜水艦の運用は彼等に長があるのだからな」
「そうですね、ソロコフスキー司令もおられませんし」
「そのこともありますから」
「それに我々は攻める必要がない」
 それもないというのだ。
「今はな」
「ありませんか、今は」
「ではこのまま」
「我々は守っていればいいのだ」
 このシベリアをだというのだ。
「このままな」
「それでいいのですね」
「守ったままで」
「そうだ、敵にシベリアを奪われなければいいのだ」
 あくまでそれだけでいいというのだ、ソビエトにとっては。
「わかったな」
「はい、わかりました」
「では今は」
 彼等はこれで納得するしかなかった、司令官であるジューコフの決定だからだ。
 それでロンメルがどれだけ攻めても動かなかった、そして第二陣として。
 潜水艦艦隊が来た、田中は側面から回ろうとするがロンメルがそれを止めた。
「副司令、それよりもです」
「正面からかよ」
「そこから攻めて下さい」
 そうしてくれというのだ。
「ここは」
「そっちの方がいいんだな」
「はい、今は」
 こう告げたのである。
「そうして下さい」
「わかったぜ、じゃあな」
「そういうことで」
「それはわかったけれどな」
 ここで田中はロンメルに問うた、その問うこととは。
「あんた俺に敬語使うよな」
「それが何か」
「俺は大将であんた元帥だろ」
 問うのは階級のことだった。
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