ブルー編
強くなるために
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ように
「会えばわかる。 会えばな」
竜胆先生が会えと言っているのだから、何かしらの意味があるのだろう。
僕はゆっくりと運動場へと向かった。
そこには一人の女生徒が運動服でグランドを駆けていた。
しっかりとした足取りで、速く、ただひたすらに駆け抜けていた。
視線が釘付けとなる。
綺麗だと感じた。
華麗だと感じた。
そしてなにより、真っ直ぐだと感じだ。
やがて女生徒は走り終えたのか歩き初め呼吸を整える。
確か、運動後はちょっと歩いたほうが呼吸が整い体力回復に繋がるのだったか?
そして僕に気づいたようで目を輝かせて走ってくる。
「もしかして陸上見学の人!?」
どうやら彼女は陸上部なのか、僕をその見学だと間違ったらしい。
「いや、えーと……月波進さんに会いに来たんだけど……」
「それ私だよ? やっぱり陸上部入部!?」
どうやらこの女生徒が月波進さんだったらしい。
赤紫色のショートヘア。
黄色く済んだ瞳。
運動服の上からでもわかる、若干の膨らみ。
それが月波の容姿だ。
「いや、竜胆先生が会えって。 会えばわかるって言ってた」
「竜胆先生が?」
一瞬残念な顔を浮かべた月波だが、すぐに顔を戻しそう訊ねてきた。
「うん」
「う〜ん……なんでだろう。 もしかして、私の能力をあてにしたのかな?」
能力?
確か、この世界には先天性と後天性の能力者がいるが、9割以上の能力者は先天性だと習った事がある。
そして、残りの1割にも満たないレッドよりも希少な後天性能力者。
無能力と産まれたはずの人間が、この世の理の流れを超えるような意志を持ったとき後天性能力者は生まれる。
○○でいたい。
○○でありたい。
○○であってほしい。
そんな覇道が、求道が、能力となる。
ならば月並みは後天性能力者で、その生き様こそが能力になったモノ。
ゆえに能力。
「それで何があったの?」
「それが……」
今までの経緯を話した。
「難しいことは私にはわからないけど、突き進むしかないんじゃない? 少なくとも私にはそれぐらいしかできないから」
「僕には難しいよ。 迷わず突き進むのはさ」
「迷いながらでもいいと思う。 ゆくりでもいいと思う。 突き進むことが一番大事だと、私は思うな」
言葉で言うのは簡単だが、実行に移すのは難しい。
僕に果たしてそれができるのだろうか?
「一人で進むのが難しいなら、私が背中を押してあげるから」
軽く背中を押される。
少しだけ、僕の気持ちが前に進めたような気がした。
「どう?」
「……あとは一人でどうにかなると思う。 ありがとう、背中を押してくれて」
「私にはこれぐらいしかできないから」
大丈夫。
ゆっくりだけど前に進める気がした。
「また、来て
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