ブルー編
強くなるために
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……
「この部屋、段々熱くなるのか?」
「熱くなるだけじゃないんだよな。 これが」
男の声がした。
そして次の瞬間、部屋の中に業火が発生した。
「この部屋はさ、俺の炎によって温度は無限に上昇するだよ。 しかもこの炎はただの炎じゃない。 命を燃やし、精神を燃やし、魂を燃やす」
僕は脱力感を覚えた。
精神を燃やされ、やる気が削がれていっているのだ。
「さあ、一戦交えようぜ! 何もしないままでいるのは退屈だろ!」
業火が吹き出した。
それに合わせて僕は業火を無に還した。
それはいいのだが、部屋の温度がどんどん上がり汗が流れる。
このままでは炎で焼け死ぬ前に脱水症状で死ぬかもしれない。
いや、もしかしたら温度で蒸発する方が先かもしれない。
どちらにせよ、このままではこちらが死ぬことは明白。
やる気が残っているうちに、精神をどうにかしたい。
下手すれば発狂死だってありえる。
命をどうにかしたい。
このままでは寿命が燃え尽きてしまう。
魂をどうにかしたい。
このままでは焼き尽くされてしまう。
「無に還れ!」
僕は炎を、その効果を無に還した。
しかし
「無駄なんだよ。 俺の能力が使えなくなるわけじゃないからな」
再び業火が部屋を包む。
「なら!」
男を無に還えす。
だがそれでも
「無駄だってわかってるだろ! 炎そのものが俺で、俺が炎でもある。 この世に炎があるのなら、俺は何度だって復活できるんだよ!」
制服についた黄色いバッチが目に入る。
イエロー。
僕はそこまで行けるのだろうか?
いや、行くしかない。
僕は意識を拡散していく。
そこには何も無い。
0ではない。0は0の形がある。
だけどここには何も無い。
これは果たして無なのだろうか?
相対的な無ではなく、もっと別の無がそこにはある。
果たしてそれは無と呼べるのだろうか?
僕はそんなものは知らない。
だけど、その一端を掴めたような気がした。
「完全に無に還れ!」
それは完全消滅だった。
命を、精神を、魂を、時間を、歴史を、能力を、因果律からさえ完全に無に還す。
例えそれが、影だろうと、概念だろうと、形のないものでさえ完全消滅させる。
各して部屋の業火は収まった。
一人の生徒を犠牲にして……。
僕は教室から出ると意気消沈していた。
一人の人間を殺してしまった。
その事実が消えるわけではない。
僕は心の整理をつけたかった。
これから幾人かの人間を殺すことになるだろう。
それだけの覚悟と心の整理を。
「やはり堪えるか……。 櫻井君」
「……なんでしょう?」
「運動場へ行け。 そこで月波進さんに会え」
確か、竜胆先生が言っていた生徒だったか?
なぜ会う必要があるのだろうか?
僕のそんな疑問を見透かす
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