ブルー編
強くなるために
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後
「あれ? ここは……」
「保健室ね。 あと、おはよう」
おはよう?
何があったんだっけ?
確か……
「あ……」
僕はすべてを思い出した。
東と戦ったこと。
そしてなすすべもなく負けたことを。
「そっか……負けたんだった」
「うん、そうだね」
すぐに和葉に肯定されて、すごく落ち込みそうになった。
そりゃ、ブルーの僕がカッコつけてレッドと戦って返り討ちにあった。
しかも、和葉の目の前(?)でだ。
恥ずかしくなってくる。
「身を呈してくれたのは嬉しかったよ。 これはそれのお礼ということで」
……え?
目の前に和葉の顔。
口に湿った感触。
頭が真っ白になった。
「それじゃあ、私は教室に戻るから」
和葉の後ろ姿を僕はただ目で追いかけることしかできなかった。
一時間目が終わったのか、チャイムが鳴り響く。
「そういや、僕はいつまでここにいればいいんだ?」
保健室を見渡す限り先生の姿は見えない。
無言で出て行くのも少し気が引けてしまう。
ここは先生を待つべきなのだろう。
そう考えていると
「うぃーっす」
そんな女性の声と共に、20歳くらいの女性が保険室に入ってきた。
保険の先生だろうか?
「おぉ、お前が入学初日からドンパチやった生徒かー。 そんな顔には見えないが、世の中わからんもんだなー」
「いや、ドンパチやったというか……成り行きでそうなったというか……ドンパチやられたというか……」
僕はわけのわからない言い訳をする。
「言い訳は寄せよー。 で、月波 進さんにでもじゃれつかれたのかー?」
誰だろうかそれは?
名前的には男性とも女性ともとれるが、今はそんなこと関係ない。
「僕が戦ったのは東……えと、武大だったかな?」
和葉が東の名前を行っていたのを思い出しながら言った。
「なに?」
そこで女性の顔と声が険しくなった。
予想と全然異なっていたのだろう。
「よく無事だったな。 奴の『既知』を防ぐには『未知』しかない。 能力否定などのような『既知』では、やつの『既知』はかき消せない」
そんなに危ない能力だったのか!
『既知』を操る能力者だとは思ったのだが、そんなにすごい能力だったとは思いもしなかった。
いや、そもそもレッドとはそういう存在なのかもしれない。
どんな理不尽さえただ「レッドだから」で納得させられてしまうような規格外。
「やつは多元宇宙……一次元的に宇宙が無限に連なった宇宙。 つまり、多重宇宙や並行宇宙といったものを掌握し、そこからの観測変化のMetaverseも操る。 レッドの中でも特に攻防の両方に特化した能力者だ」
そんなに凄い能力者と戦って生き残れたのだから、僕は少しは胸を張ってもいいのだろうか?
でも、負けたのは事実だし、勝っても胸を張るつ
[8]前話 前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ